恋愛低体温

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哲也さんのしてくれるお話は とても興味深くて、いろんな国に行った話だったり、

意外だけど、チョコレートが好きすぎて
ついつい食べ過ぎちゃうって話だったり、

珈琲が好きで堪らない話だったり。


あ、そうそう！
カフェ巡りが趣味なんだと
女子みたいなことも言ってた。


こういう感じのお店なら まだ大丈夫だけど、
SNSとかで女子が好きそうなピンクで可愛いお店には恥ずかしくて入れないんだとか…


でも、哲也さんなら大丈夫じゃないかな？
ピンクの可愛いカフェでも全然可愛くSNSに映えるんじゃないかな？

うさぎの耳とか付けてたら
可愛さ抜群だよね？ってその姿を想像して
今度は私がクスクス笑う番。

ひとりニマニマしてる私に気づいた哲也さんは
ずっと『なんだよーぅ』って口をへの字にして不貞腐れてた。









・









・









カフェの帰り道
テクテク歩く哲也さんの後ろを
彼の影を踏まないようについて歩く。



手には小さな白い箱。

私がお店のショーケースで あまりに悩んでたからお土産だよ、って 帰り際に哲也さんがケーキをひとつ買ってくれたの。

そういうの、女子的にはポイント高くて
嬉しいよね？

やっぱこういう気遣い、
大人の男の人だなぁ、って。



だから、かな？
さっきから意識しまくって
うまく喋れない。




もうそこの角を曲がったら
アパートに着いちゃうのに、、




話をしたいことはたくさんある。

例えば広場にいる猫の話とか…
この間のお話会の話とか…








もう少し…一緒にいたいな、、




ねぇ、哲也さん
私がそんな風に言ったら
どんな顔する？

いいよ、って言ってくれますか？



でも、そんなこと
恥ずかしくて言えない。





モヤモヤもたもたしてるうちに、
前を歩く背中は角を曲がってっちゃって、、






どうしよう…


まだ次の日を気にするような時間じゃないし

此処まで送ってもらったことだし
部屋に上がってもらうべきかな？





夕御飯でも一緒に…
お茶でも飲んでいきますか？


何て言えばいい？




ぐるぐる考えてると








「じゃあ、、」





此処で…って言い掛けた、彼






「あ…の、」

「ん？」





引き留めたはいいけど…







「……おやすみなさい、、」





やっぱダメだ、、


しょぼん。
勇気なく、無惨に散る









「…ざーんねん。一瞬期待しちゃった」









「____え？」





弾かれたように顔を上げた









見えたのは…


ふっ、と悪戯に上がってく、口角

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