恋愛低体温

28 ページ28

「結構飲んだねぇー。」




帰り道、自転車を押してくれながら
哲也さんは満足そうに夜空を見上げ
ゆったりと口を開いた。






「Aちゃん強いんだねぇ。」





相変わらず自転車は
カラカラと音がして






「わりとー、入ってますよ？…お酒。」


「当たり前でしょー。飲んだんだからぁ。」






明日は…きっと晴れ
空が澄んでる








「酔っても変わらないの？」


「哲也さんは？」


「……質問を質問で返すなんてずるぅーい。」






時々可愛こぶりっこするのは
癖なのかな？






「醜態晒したりはしないけど…多少は、、
あると思う…。」


「なにがですか？」


「……なんでしょーう？」





なにが多少なりにもあるんでしょうか？

哲也さんは笑って
もう答える気は…なさそう。







「Aちゃんは？」


「私はー…、、私もあるかな？」


「酔った勢い…みたいなやつ？」








「……酔った勢いとかあるんだ？哲也さん、」


「……変なやつ想像してない？」


「変なやつとは？」


「……………。」






クスクス笑う私に
ジットリとした視線が隣から送られてくる。







「そんなんじゃないのー。
俺が言ってるのは勇気なのー。」






あ。口が尖んがった！
拗ねてるの？ちょっとからかったから？

ふふっ、可愛い♡








食後の運動と、お酒を入れた身体には
歩いて帰るこの距離が
ちょうど良くて、

たぶん結構いい時間なんだろうけど…
そんなの気にならないくらい
楽しんでる私がいる。









「広場にね、猫がいるの。知ってる？」


「んー？知らない」


「たぶんね、野良。」


「そうなんだ、」








「子猫♡」

「へぇー」




茶色のシマシマの子が二匹とね、
真っ白で靴下履いてる子がね、いて…






「とってもかわいいの♡」






小さくてフワフワで…
触りたいけど、
野良だから近寄ってきてくれなくて…
だからせめてもの、と思って写真を収めたの。




最近のお気に入り、
ものすごーくズームして撮ったから
粗いけど、と言い訳してから撮った写真を見せた。







「あ、可愛いねぇ。」





でしょーう？




画面の猫ちゃんをちょん、と爪で可愛がって
パタンとカバーを閉めたら








「今度また見た時は
僕にも写真送ってよ。」




「………。」






＿＿＿＿変なこと…言うから









ピタって…

思わず立ち止まって
貴方を見上げてしまったじゃない、、

29→←27

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す