恋愛低体温

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「これ、あげる。」





掛けられた言葉に
伏せていた顔を上げた。







「………。」





差し出されたのは、、
サンドイッチ

オシャレな、、




SNSに載ってそうな、真ん中だけこんもりなってるやつで
色味の綺麗な千切りのお野菜が
ぎっしり入った、パンもなんか茶色いやつ。





………なんで？
こないだ地味なの食べてたから
今時のサンドイッチはこういうのだよ、って
お前もこういうの作れよ、ってこと？








「今日、頑張ってたからご褒美。」






…………。







「声色変えたり、トーンに強弱つけたりして
工夫してたじゃん。子供達が聞きやすいように。それは努力。」








「だからご褒美。」









「でもこれ土田さんの…」


「いいのー。」








「美味しいものを食べるとね、
幸せな気持ちになるよ。」








不思議…

すごくどんよりした感情が
ぐるぐる支配してた



それなのに…
パッと窓を開けられた感じ。





駄目な自分を
頑張ってたよ、って言ってくれる人がいて





窓から新しい風がフワッと入ってきたみたい。








「……いいんですか？」


「もちろん。」





受け取った"映え"なサンドイッチを手に、
ふつふつと胸があったかくなるのを感じてる。







この人はその場の雰囲気や、人の気持ちを
即座に読むのが上手いのかもしれない。







「ありがとうございます。」






キュッと上がった口元に
少しだけ胸がピョコンってなって









「あのっ！今度御礼に
"映え"なサンドイッチ…作ってきます！」






階段に向かう彼の後ろ姿に
勇気を振り絞って声を張り上げた







階段の手前で振り返った彼が、






「バエ？」






首を傾げたから








「こういうやつ！」





貰ったばかりのサンドイッチを
高く掲げる






今度は微笑んだとか
そんなんじゃない


白い歯がみえたんだもん。



笑いながら手を振って
階段の下に見えなくなっていく彼を追いながら
きゅぅ、って胸が鳴いたの…

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