恋愛低体温

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「よし！…っと。」






館内の掲示板に今月の"お話し会"のチラシを
貼っていた時だった。








「これ、誰でも参加できるの？」





振り向くと…、土田さん








「…えぇ。大丈夫ですよ。」









甥っ子さんか姪っ子さんがいるのかしら？

まさか、、
自分の子供じゃないよね？

しょっちゅう図書館に来てるんだもん。
子持ちなら仕事してるはずだし…









「この担当者の牧田さんって…」


「私です」






毎月開催している"お話し会"

子供達にもっと本に興味を持ってもらいたくて
私の提案でこの春から始めたもので、

月に一度、
二階の休憩スペースに絨毯を敷いて
子供達に絵本の読み聞かせをしている。





取っ掛かりなんて なんでもいい。
本の世界を好きになるキッカケになったらいいな、そう思って始めたこと。








「牧田さんが読むの？」


「はい」


「へぇー」









「来週の日曜日なんで、よかったら…」


「うん、楽しみにしてるね。」









・









・









……って、甥っ子姪っ子と一緒に。
って思うじゃん！




なんで一人来てんのー？

なんで子供達の中に紛れて
ちゃっかり座ってんのー？



なにワクワクしながら始まるの待ってんのー？
体操座りとかしてー！







翌週の日曜日、
何故か彼は小さな子供達に混じって
絨毯に座っていた。




もう、ほんっと変！







「みなさん、こんにちは。」







"こんにちはー"って
あの人が一番大きな声で言っちゃってるし、、




あまりそちらを見ないように
今日読む絵本を取り出した。








「今日のお話しは『赤ずきん』…」


「えー。そのはなししってるー！
ほかのはなしがいいー！」


「えっ、」






その中のひとりの男の子が
突然声をあげて、






「おれもしってるー！
おおかみでてくるやつだぞー！」





その子に続くようにして、
別の男の子まで立ち上がって指を指し出す。






「『赤ずきん』が終わったら
違う絵本を読みます。待っててくれる？」





一番前に座った小さな女の子、
ワクワクした目で私を見上げてる。


これくらいの年齢の子用の絵本と、
もう少し大きい子用の絵本とを準備していた、私

どの年齢の子供達も楽しめるように、と考えていたんだけど…







「やだー！ちがうはなしがいいー！」







お気に召さない模様…

さぁ、どうしよう。
困った…

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