恋愛方程式 3

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「直人さん、歩きたくない。
おんぶして。」



店を出て、無理矢理 ケンチさんを一人
タクシーに押し込んで見送った後、

繭ちゃんが両手を 俺の方へと広げた。






「いいよ。」




どうしよう。
今、直人さん千鳥足。


繭ちゃん、
脚が縺れて ぶち転けたらごめんね。






「うふふ。こんなこと、ケンチさんには
絶対、頼めなーい♪」




でしょうね！
どうせ俺は、人力車代わりだよ！

繭ちゃんの重みを 背中に感じながら
首の辺りに フワフワとあたる 柔らかい髪の毛の感触が擽ったい。






「こんな我儘な姿、
直人さんにしか見せれない。」


「我儘聞いてくれる、おじさん、てとこね。」





本当は、まだお兄さんだけどねッ！！






「直人さん…、私の事、好き？」


「好きだよ。」


「どこが好き？」





「どこだろ、、
逆に嫌いなとこ 見つける方が難しいかな？」





どんなとこも可愛いと思っちゃうから
恋って厄介だよね？






…………？


首に回っていた腕が、
キュッと いっそう締め付けを増す。









「今日、ケンチさんと御一緒させていただいて
よく分かりました。」




なぁに？
やっぱりケンチさんが好きだって？

直人さん、いじけちゃう。

家に帰ったら
ひとり黙々と石でも積もうかな。
高く積めたら、インスタに写真アップしよ。






「理想と、現実は違うんだな…って。」






だから言ったでしょ？
石油、持ってないんだって！ケンチさん！


ものすごく持ってそうだけど、
持ってないからね！


持ってたとしても、せいぜい
プロテインか、スムージーくらいだから！







「直人さん、、私が合コン行くのは
開いてって頼まれるからなんです。
相手を見つけるためじゃないの。」



「そうなんだ、」





でも直人さんは
その間、ヤキモキしてるよ。

この間なんかね、ソワソワし過ぎて
間違えてパンツ二枚も履いて帰っちゃったから
誰か下着のままスタジオを後にしたと思うよ。







「傍にいて欲しいと思う人がいてくれたら…、
それでいいから。」


「ケンチさん、カッコイイよね。
背も高くて、足も長い。美形だし、学歴も高くて…ちなみに性格も申し分ないよ。」





俺は、足りないものばっかりだよ。








「…………直人さんて、、ほんとバカ。」


「あー、そうかも。」





バカになっちゃってんだよ。
君が好き過ぎて…

きっと、恋愛バカになっちゃってるんだな。





バカになるくらい、
君のことが 好きなんだよ。

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