118 ページ20
・
どこかで 思ってた。
あんなことがあっても、
健二郎さんとは、また元通りの関係に戻れる、って…
また“A”って、
あのクシャクシャな笑顔で 笑いかけてくれる、って…
健二郎さんとは、ずっと あの頃のままの関係でいられるって疑わなかった。
私って…、本当に 自分勝手。
もう、、
健二郎さんとは 一緒に居られないの?
・
「……………A、」
すぐ傍で聞こえた声に
ハッとする。
「もぅ、何度も呼んでるのにー。」
珈琲カップを持った哲也さんが
ソファーの前で、私を覗き込んでた。
「ごめんなさい、、」
「元気ないね?どうかした?」
「いえ、、なんでもないです…」
無理矢理 作った笑顔で
力無く、首を横に振る。
哲也さんといるっていうのに…
あんなに家に行くのを
緊張してたっていうのに…
哲也さん家に来ても、上の空。
健二郎さんのことが 頭から離れない。
振り返ることなく 去って行った、背中。
かける言葉すら見つからず、
私は、その背中を 黙って見つめるしか出来なかった。
「なんでもないこと、ないよね?
今日、ずっと変だよ。
お鍋、美味しくなかった?」
コトン、
テーブルの上に置かれたカップは…
ペアで、、
きっと、私のために
哲也さんが 用意してくれたものなんだろう、、
そう考えると、胸がズキッと痛む。
「そんなこと、、
美味しかったです、、」
嘘…、、
味なんか覚えてない。
何が入ってたかさえ…
覚えてないんだもん。
二人で夕飯に作ったお鍋…
恋人と料理を一緒にする、すごく憧れてたシチュエーションだったのにな、、
トサッ、ソファーが 静かに沈み込む。
私の隣に腰を下ろした 哲也さんは、
そっと 私の手を取り…
「ほんと…嘘つくの、下手だね。」
少し困ったような表情を見せた。
「………」
私の手に視線を落とした 哲也さんは、
包み込むように 自分の手のひらに乗せ
ゆっくりと関節をなぞりだす。
そして、またゆっくりと 伏せた目を上げ…
「………健二郎?」
穏やかに、そう問いかけた。
黙って、哲也さんを見つめる、私。
違う、って言ったところで
すぐバレちゃうんでしょ?
だからといって、
貴方といるのに、他の男の人のこと考えてます、って…素直に頷けるほど、子供でもない。
3144人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花(プロフ) - かりんこさん» ありがとうございます(ノ´∀`*)切ない哲也さんもきっと色っぽくて…ハフン← (2018年12月2日 23時) (レス) id: da6606050a (このIDを非表示/違反報告)
かりんこ(プロフ) - 楽しくきゅんきゅんしながら読ませてもらってました!!哲也さんが切なくて(泣)花さんが書く哲也さん大好きです!! (2018年12月2日 15時) (レス) id: 80c3c3dd16 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - こばしり。さん» ありがとうございます(*´ω`*) 頑張ります(^-^) (2018年4月10日 14時) (レス) id: da6606050a (このIDを非表示/違反報告)
こばしり。(プロフ) - JSB旅館好きすぎるー!まじ卍←何これ。 更新まっとりまっせ~!(*^3^)/~☆ (2018年4月9日 17時) (レス) id: 430ac03c68 (このIDを非表示/違反報告)
reo sano - はい! (2018年3月22日 18時) (レス) id: c9f3e49afd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花 | 作成日時:2017年4月25日 21時