恋愛方程式 3

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カチャン…



静かな家に
鍵をかける音が 響き渡る。

真っ暗な玄関に、私の吐く白い息が
ぼんやりと見えた。






部屋の明かりを点け、エアコンのスイッチを入れてから
コートを脱いで、ハンガーにかけてると
鞄の中で鳴り出した、携帯。





ブルッと身震いしながら 鞄の中身を漁って
画面を見て、『あっ！』と小さく声が出た。









『Aちゃーん、まだなのぉ〜？
お喋り長くな〜い？


哲也さん、もうだめー。
これ以上飲めないよぉ〜。


Aちゃん待ってる間に、俺の方が酔い潰れちゃうよぉ。
逆に、迎えに来てもらわなきゃいけなくなっちゃうー。』






…………しまった！

迎えに行くから、帰る時 電話してって言われてたんだった！







『もしもぉ〜し！』


「哲也さん、、すっかり忘れてました。」


『………』


「もう、家、帰ってきちゃいました。」









『…………えぇー。危ないって言ったでしょーう？
なんで帰っちゃうのぉー！』


「ごめんなさい！
本当にすっかり忘れちゃってて…」


『………酷いよー。Aー。
もーう。哲也さん、ベロッベロだよぉー。』


「む、迎えに行きましょうか？」


『……そんなわけにいかないでしょー。
もぉー、今日はケンチに送ってもらうことにするぅ。』





拗ね気味の哲也さんは、渋々といった感じで
電話を切った。






切る前に、

『明日、俺が二日酔いになっちゃったら、
晩御飯、Aの奢りね！』

って言い残して…。









・








冷えた身体を 湯船に沈めながら
私は今、絡まった糸を解こうと もがいてる。






彼女とは、別れた。
付き合ってるのは、私。

哲也さんが、そう言った。






なのに、どうして私はこんなにも
哲也さんを信用出来ないんだろう…







やっぱり、最初から二番目だったから？
哲也さんが 浮気できちゃう男の人だって
知ってしまってるから？




今度は、私が浮気される番かも、って
そんな悪い考えばかり 浮かんできちゃう。







ずっと、
愛されるより、愛したい。

そう思ってた。






ずっと、入社してから好きだった人なのに…、

お付き合い出来たら、幸せ以外の何物でもないって思ってたのに、、




それなのに…、







欲張りになっちゃったんだろうか？






愛されたい、

愛される喜びを感じたい。





安心…したい、、






絡まった糸が解ける日は、
いつになる？

いつか、来る？

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