Powder Snow 4 〜御曹司との恋〜

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剛典side







胸の中で小さく肩を震わせる、A

その肩が、
一生懸命、俺を掴む手が、

頼りなくて、、

胸を締め付ける。







彼女を抱く腕に 自然と力が篭もり、
彼女の後頭部を引き寄せた。
見上げた空には、まぁるい月が ぽっかりと浮かんでいる。









『彼女には、もう会わないで！』






彼女は、、……知ってた。






響子さんと会っていることも、
そして、たぶん俺と彼女の過去の関係も…





いつから…？
いつから知ってたの？
知っててずっと黙ってたの？



ずっと言えずに我慢してきたの？
今までどれだけ傷ついてきただろう…
心を痛めてきただろう…





俺の知らないところで、
どれだけの不安と戦ってきたのだろう、、









・









「……分かった。」






長い沈黙の後、
短く返事をした俺に、
ピクリと反応したAは、ゆっくりと顔を上げた。







「…………ほ、んとうに？」







「うん、もう会わない。
不安にさせて、、ごめん。」





涙の筋が残る その頬に、そっと手のひらをあてた。








「もう、君を泣かさない。」



「…………」



「誓うよ。」







言ったそばから、潤んでいく瞳を見て
どうしよう、と困った表情をした俺の首に、
キュッと彼女は腕を巻き付けた。








柔らかな彼女の髪が 頬を擽る。

あの日、彼女が幸せになることを祈った…
その彼女が、今…俺の腕の中にいる。



大事にしてやれよ、って思った
その彼女は、今、俺の腕の中…。



俺が、彼女を大事にするんだ。
彼女が笑顔でいられるように、、









「ねぇ、A…、
お見合いする前に、三度会ってるって話、、
覚えてる？」





首にしがみついた彼女が
小さく頷いたのが分かった。







「三度目に会った時、
君は恋人と一緒に居たんだ…。」



「………」







あれは、どこだったかな…、、
姉ちゃんとカフェに入った時だった。





君は、窓際の席に座って
目の前のカップに口をつけることなく、
頬杖をついて、ずっと外を見ていたよ。

今思えば、あのカップの中身は
空だったのかもしれないね。








「ずっと、恋人を待ちわびて…
やっと来た恋人は、
コーヒーが来る前に帰ってしまった。」






つまらなそうにしてた君が、
その一瞬で表情を変えたんだ。

カフェに入ってきた男を見て、窓の向こうに
彼を見つけたんだ、ってすぐに分かったよ。

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