Powder Snow 4 〜御曹司との恋〜

Hurricane. ページ1

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夏の終わり
パタパタと小忙しそうな音が 屋敷の中に響いている。






「若奥様、坊ちゃんも じきに戻られるそうです。この雨風ですからね。
今夜は、早めに夕食に致しましょう。」



「そうね、」








いっそう雨足を強める音に 気を取られながら、忙しそうに料理の用意をする 隆二に
生返事をして、外に目をやった。

哲也と直己が忙しく その準備に追われていた。









「Aちゃん、たいふうってなに？」





幼稚園もお休みになった楓くんは、
1日中、暇を持て余し気味の様子。






「すっごく強い風がね、ビューって吹くんだよ？」







テレビの中では、
大きな台風が今夜、上陸すると ひっきりなしにニュースで流れている。








「たいへん！
しゅみれちゃんが とんでいっちゃうかも！」



「お家の中に居れば、大丈夫だよ。」



「かじぇのおとに びっくりして ないちゃうかもしれない！
おにいちゃんが まもってあげないと！」






やぁだー♡可愛いー♡
なんて賢いお兄ちゃんなの♡
Aちゃん、キュンキュンしちゃう♡







「Aちゃんも たいふうこわい？」



「そうだねー。
窓がガタガタ揺れる音は恐いかな。
楓くん、Aちゃんのことも 守ってくれる？」




「たぁくんがかえってくるまでは、ぼくがまもってあげる！しゅみれちゃんも まもらなきゃいけないから いしょがしいな、ぼく！」






小さな手で、私をキュッと抱きしめる楓くんは、3歳にして、立派な紳士。
さすが五十嵐のお坊ちゃま。

お義兄さんや、お義姉さんからキチンと教育を受けているからなのね。









「風の音が恐いなんて、随分と可愛いことおっしゃるんですね。
僕が 抱っこして差し上げましょう。」







外から帰ってきた哲也は びしょ濡れで、
私をからかいながら、シャンプー後のワンちゃんみたいに プルプル頭を振る。








「剛典さんに 怒られても知らないわよ。」




相変わらず過保護気味の 哲也の髪を
バスタオルで包んであげると、
バスタオルの中で、哲也は苦笑いをしてみせた。








暑かった夏が 終わろうとしている。
昼間は暑いにもかかわらず、朝晩は めっきり過ごしやすくなってきた。

私達にとって、
この夏は とても大切な夏になった。







「あっ！Aちゃん！
たぁくん かえってきたよ！」








この嵐が、よりいっそう秋の訪れを 感じさせるものになるのかもしれない。

次は、どんな季節になるだろう。

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