Powder Snow 3 〜御曹司との恋〜

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「お義兄さん、どうかしたんですかね？」



「楓に せがまれたらしく、
お祭りで 屋台のものを 勝手に食べさせたのが、隆二にバレて 怒られてるんだよ。」




「あんな顔の隆二、初めて見ました。」




「いつものことだよ。
懲りないんだよ、直人さん。
隆二もさ、何故か 直人さんにだけ 厳しいんだよね。」









怒られちゃうんだ…お義兄さん









「隆二はね、食に関しては厳しいからね。

Aも、気をつけなきゃ駄目だよ。
訳わかんないもの 食べたら
隆二に 怒られちゃうからね。」







健二郎が 車の扉を開けて待っていてくれて、
後部座席に乗り込むと、
静かな音を立てて 扉が閉まる。








「毎回、すっごく怒られてるのに
同じことしちゃうんだよ、、

直人さんは、甘いからね。
姉ちゃんにも、楓にも。

きっと、純恋にも せがまれて つい買い与えちゃうんだろうな〜。」







ふふっ、と笑う顔が とても幸せそうで、
思わず こっちまで笑顔が伝染しちゃう…








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車が停まって 降り立ったそこは、
潮の匂いがした。

波の音と、少しベタつく夜風に吹かれながら
彼の腕に手を絡ませて 船へと続く道を歩く。







船内は、まるで おとぎ話の舞踏会に来たような 煌びやかな、世界。
オーケストラの生演奏が響き、
紳士や淑女が 優雅にパーティーを楽しんでいる。






結婚する前に、何度もパーティーには行ったことがあるけど、こんな豪華絢爛なパーティーは初めて…。









「出席者のプロフィール、覚えてきたの？」





入れ替わり 立ち替わり やってくる出席者の方達との会話の合間に、驚いた表情で目を丸くして尋ねてきた、彼。







「えぇ。剛典さんが 恥をかかないように
頑張って覚えてきました。」





就任パーティーの時以来、
剛典さんのお仕事に関わる方のお顔と
簡単なプロフィールくらいは分かるようにと、
必死に覚えてきた。








「すごいね！」


「これも、妻の務めですから。」





剛典さんの妻として、
五十嵐の嫁として、恥ずかしくない存在でいたい。






「こういうとこなのかな。
健二郎のお眼鏡に適ったのは。
ありがとう、A。」





優しい表情で、ふわりと笑った彼の指先が
アップにした髪に触れる。






「私、人の顔とか覚えるの、割と得意なんです。」


「………嘘ばっかり。」


「……？、得意ですよ？」


「だとしたら、俺 傷つくなー。」

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