Powder Snow 3 〜御曹司との恋〜

・ ページ39

・






「………あら？だれもいない…」




ガランとしたプールサイド…。







「食事時だからじゃない？」






振り返ったら、意味深に笑う 剛典さんがいて…


そうなのかな、って思いながら
着ていた上着を脱いで、チャプンとプールの中に脚を入れ込んだ。






冷たくて気持ちいい…







「あれ？……水着、可愛い系なんだ、」



「………ダメ、でしたか？」






まさか、剛典さんも哲也と 同じような趣味の持ち主なの？







「ん？いや…
いつも下着がセクシー系だから、
水着も セクシーなのかな、って勝手に思ってた。」



「あれは…、哲也の趣味で、私の趣味ではありません。」





おかげで、今夜は とんでもない下着を着る羽目になりそうです。

剛典さんには、到底お見せできません。









「泳いできます。」




こんな時は、無心に泳いで、泳ぎ疲れて 寝てしまった方がいいに決まってる。



頭にチラつく、雑念を払うかのように
ザブン、と水に浸かって 魚になる決意をした。









・









「ちょっと ちょっと、ストーップ！」





何往復か目のターンの後、進行方向に現れた
剛典さんが 私を捕まえる。








「なんですか、もう。
気持ちよく泳いでたのにー。」




「そんな本気で泳ぐなんて思わなかったから、
びっくりしてるんだけど…」




「プールは泳ぐとこですよ。」




「……だけど、ほら。
今、ふたりっきりじゃん？」







………確かに。

広いプールは、今は ふたりだけ…

いつも一緒の 哲也も、健二郎も
何故かいない…。









「だからね、俺と遊ぼうよ。
Aが一人で泳いだら、俺、ひとりぼっちになるじゃん？」




「競争します？」



「………しないよ。
そんなに泳ぎたいの？」






スイ〜ッと浮いた 剛典さんが 仰向けに泳ぐ。









「見て〜！ラッコの真似〜！
上手でしょー。
前に、直人さんに教えてもらったんだー。」








じょ、上手ー！！









「私もラッコになりたいっ！」



「いいよ〜。教えてあげる。」






うずうずしてる、私の背後から手を回し
抱えながらラッコになっていく。




ちゃぷちゃぷと浮いて、高い天井の照明が
キラキラと光っているのが見えた。






「綺麗…」



「んー、そうだね。」

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す