Powder Snow 3 〜御曹司との恋〜

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「あ〜、あれもいいな…」





おもちゃ箱をひっくり返したような わくわくする下界の景色に 夢中になっていると…







「…、きゃっ、」





突然、グラリと揺れた視界。

ふわっ、と風が舞い降りると共に感じる、
気配と、感触。








「…もぉー、
びっくりしたじゃないですかぁー。」



「あはっ、ごめん。」






ぷぅ、っと頬を膨らませると、
隣に移動して来た彼が、白い歯を覗かせた。

完全に傾いちゃってる、観覧車。






近すぎるこの距離も、
今まで なんてことなかった距離なのに、

ちょっとドキドキしちゃうのは、
何故なんだろう。







「………／／」




気恥ずかしくなっちゃって、
誤魔化すように外の景色に 視線を投げる。






「ほら、あそこのホテル、
今日は、あそこに止まるんだよ。」




ふわっと包み込むように
後ろから回って来た腕が
遊園地に隣接されたホテルを指差した。







あれも、五十嵐の持ち物。

この遊園地を建設するにあたって、
一緒に建てられた、ホテル。








「……うん、」



「ん？どうした？」






今にも ひっついちゃいそうなくらい 近い彼の横顔が、首を傾げて此方を見るから…

余計に近くなっちゃって…








「………近い…です、」







彼の顔を見ることなく、下を向いた。







「……今更じゃない？」





そう言って 吹き出す彼だけど…

観覧車の窓枠に置いた手を
キュッと包み込み…







「……A、」





取った手ごと、
ぎゅぅっと 後ろから腕が
私を拘束した。







「あのさ…、俺…」






擽ったいくらいに 耳元で 彼の息遣いと
心地良い声が響く。








「俺、Aが…、おわッ！」





再びガタンと揺れた振動で、
今まで甘かった空気が、一瞬 止まる。








「…………てっぺん、、ですね、」



「……てっぺん来たら、揺れるの？」



「はい、てっぺんの合図です。」







ふっ、て私を抱き締めたまま、
彼は私の頭に 自分の頭を預けて
肩を揺らして笑い出す。








「……剛典さん？」



「もうー、…またかよ、って感じ。」



「………なにがですか？」







ん？って顔した、彼。

でも、すぐに…






「なんでもない…。」






バツが悪そうに笑う。









「でも…、

一番高いとこ、きたんだから…
キスはしとこうね。」






『えっ？』て聞き返す間も無く 塞がれた唇。

啄まれる、その感触に 目を閉じて
ただただ 篭る熱を確かめ続けた。

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