Powder Snow 3 〜御曹司との恋〜

・ ページ20

健二郎side







「哲也さんっ、ちょっと話を聞いて？」



「分かってるって！」



「いや、分かってないですよね？
俺、ノーマル…」



「いいよね〜。恋をするって。
見てよ、あのふたり…」








全然、話を聞いてくれない 哲也さんを諦め、
ショッピングを楽しむ 御二方に目をやる。







御自分で選ばれた お洋服を、坊ちゃんの身体にあてて 「似合う」と笑いかける若奥様。

そんな若奥様を見つめて、顔を綻ばせる 坊ちゃん。







あの日も…
あんな風に、若奥様は笑ってらした。




若奥様に、二度目にお目にかかった夜…。







あれは…、そう。

青柳様と直人さんとで
時折、開かれる 変な夜会の時でした。









・









「どうかしましたか？坊ちゃん、」





お二人が待つBARに 少し遅れて行くと、
店に入ってすぐに 坊ちゃんの足が止まった。







「健二郎…、あの娘、、」





一点を見つめて動かない視線を辿ると…、

この間 お見かけした 黄色のドレスをお召しになっていたお嬢様がいらした。








「あれ？偶然ですね、
この間のパーティーでもお見かけしましたね。
結城の三番目の御令嬢です。」



「……うん、」






お友達数人と 一緒におみえになっている彼女は、コロコロと表情を変えて笑っている。







「……あの娘、あんな風に笑うんだ、」




彼女を見つめながら ボソッと呟いた 坊ちゃんは、ふっ、と柔らかい表情を見せた。









「…………、」





偶然の出会いだったかもしれない。

でも、偶然は何度も続かない。





二度目の出会いは、必然。
逢うべくして、出逢う。









その証拠に、坊ちゃんは やはり
今宵も 彼女に 興味を持たれた。






「健二郎、あそこにフルーツ届けといて。
俺の名は伏せて、店からってことにして…」





「かしこまりました。」









もう一度(ひとたび)、偶然が重なれば…
それはもう…









・









「運命の おふたりですから。」





「運命？…健二郎、
お前…意外とロマンチスト？

それは俺の得意分野だよ？」






そう…。
三度(みたび)、偶然が重なれば…

それは運命…。







「その運命を邪魔するやつがいたら、俺は許さないよ、」



「運命には、抗えませんよ。」



「ならば、何故、未だ会ってる」



「仕事ですよ。」








………今の所は、、ね。





したたかな女…、油断は出来ない。

目を光らせてないと、、

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す