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そんな空気の中、先に 口を開いたのは
彼の方だった。









「俺ね、幼い頃から いろんなことに 折り合いをつけてきたんだ。




産まれた瞬間から 跡取りで、
会社を継ぐ、それ以外の選択肢は
俺には無かった。




友達と 遊ぶ暇もないくらい 習い事や勉強に忙しくて、娯楽っていう娯楽もなかったしね。


俺には、いつも選択の自由は なかったよ。」








それは、彼の背負ってきた
苦悩と、孤独。








「割と早い段階から、
いろんなものを諦めて…犠牲にして…
のしかかる プレッシャーにも耐えてきた。


だって、自分自身で乗り越えないと、
俺が潰れたら、『五十嵐』が潰れちゃうから。
だから、俺は 絶対に 負けなかったよ。



そうやって、周りの環境を受け入れて、
独りで 折り合いをつけながら
今まで やってきたんだ。」









伏せた目が、彼の 今までの孤独を
物語っているようで…

胸が ギュッと 締め付けられる想いがした。









「姉ちゃんだけが、俺の癒しだった。

跡取りとしての俺じゃない…
本当の俺を見てくれる、唯一の人間(ひと)だったから…。」








この人は、今まで
どんな想いで、それを受け止めてきたんだろう。

彼にしか分からない、孤独と、苦悩。








「こんな話…、
誰かにするの、、初めてなんだ。」







もう、彼を想うと…
胸が悲鳴を上げて 張り裂けそう。







「ずっと、
姉ちゃんみたいな存在を 探してた。



跡取りじゃない、俺を見てくれる人…。

俺を裏切らない人、、
俺の、絶対的な味方で いてくれる存在の人を。」








顔を上げた彼の瞳は、
とても弱々しくて、








「俺を、裏切らないで…。」









すがるような目で、









「俺を…見て。」








その瞳に、
彼を 抱きしめたい衝動に駆られる。









「……どうして 君が泣くの、」






油断したら、零れ落ちそうだった涙は
我慢してても、滑り落ちた。








何も言えず、
ただ下を向いて 首を振る私に…









「…寒いから、もう帰ろうか。」






優しい声色と…
優しいてのひらが、、届く。







唇を噛み締め、下を向いて
彼に手を引かれながら、
桜道を ふたりで 歩いた。






まだまだ、冷え込みの残る早春の夜、
寒さの中で 美しく花をつけた桜は、
強く、まっすぐに 夜空に向かって咲き誇る。

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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , TETSUYA,土田哲也   
作品ジャンル:恋愛
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smiley(プロフ) - はい!是非!是非!ぐふふな話したいです!!(≧∇≦) (2016年9月29日 6時) (レス) id: 0e3662b721 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - smileyさん» 飲みながらぁー、ぐへへな話しましょ♪(´ε` ) (2016年9月28日 21時) (レス) id: 04bef8cffa (このIDを非表示/違反報告)
smiley(プロフ) - 花さんがそこまで言うなら‥笑 じゃあ!じゃあ!私が未成年のお年じゃなくなったら聞けますか!?笑笑←しつこいやつ。すいやせん、 (2016年9月28日 20時) (レス) id: 0e3662b721 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - smileyさん» お縄になりたくないから止めとくね♪(´ε` )←どんだけw (2016年9月28日 19時) (レス) id: 04bef8cffa (このIDを非表示/違反報告)
smiley(プロフ) - 笑笑 そんなにすごいんですか!!なおさら気になりますよ!!(°_°) (2016年9月28日 15時) (レス) id: 0e3662b721 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年8月28日 21時

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