Powder Snow〜御曹司との恋〜

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そんなのは、言い訳よ。
結局は、自分では動かない
我儘な、お坊ちゃんなんじゃない！








「剛典様は、謝るキッカケを
探しているのでございます。



一生懸命、お考えになった結果が、
あの靴にございます。

あの靴は、剛典様、自らが
お店へと出向かれて、若奥様に似合うものを、と選んだものです。

どうか、剛典様のお気持ち、汲んでやってはいただけませんか？」









…………。

そんなこと言ったって…。









「若奥様になさった御無礼、
剛典様に代わって、私が謝ります。
大変、申し訳ございませんでした。

若奥様のお気持ちを考えると…
健二郎も、大変、心が痛みます。」







健二郎さんに
謝ってもらいたい訳じゃない。

健二郎さんが、悪い訳じゃないのに…。








「剛典様の肩を 持つ訳ではございませんが…
あの方は、孤独な方なんです。

お小さい時から、プレッシャーや
期待を、一身に背負って、
それに 負けることなく、御自分の足で
立ってこられた方なんです。」






「…………」









「剛典様には、癒しが必要です。

安らかで、心、温まる場所が…。
羽を休める場所が…。
絶対的な、味方が。



若奥様…
どうか、、御無礼をお許しください。

坊ちゃんの お気持ちを汲んでやってはいただけませんか？」









「………それと、これとは…
関係ないから、、、」






謝っても来ないのに…


「…許せない。」









それを聞いて、
健二郎さんは、とても悲しそうな表情を見せた。






そんな顔…しないでください。
私が…悪いみたいじゃない、、、








なんだか、私の方が 悪者になっちゃったみたいな気がして、健二郎さんに背を向けた。









・









剛典さんが、孤独だなんて
考えたこともなかったな…







ぼんやり月を見上げて、
そんなことを思った。









一人息子で、我儘放題に甘やかされて
育ってきたのかと思ってた。


手に入らないものなんて、何もないんだと思ってた。



…だから、人の気持ちも考えずに
あんなこと出来るんだって。








産まれた時から跡取りで、
それ以外の 選択肢を 与えられずに、
過度の期待と、背負ったプレッシャーに負けずに生きるって…




どんな気持ちだったんだろう。

どれだけ孤独だったんだろう。





彼の気持ちを理解してくれる人間は、
近くにいたんだろうか？

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