Powder Snow〜御曹司との恋〜

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「若奥様、
俺ね、産まれた時から、
此処の”離れ”で育って、

18の時から ずっと、此処のキッチンで料理
作ってきたんです。

まだ、お嬢も坊ちゃんも、小学校に通ってらっしゃいました。





18の俺に、旦那様は、費用は出してやるから
海外へ行って料理の勉強して来い、って言ってくださったんですけどね、御断りしたんですよ。



まだ、お小さいお二人に、”おふくろの味”じゃないですけど、覚えていただきたかったんです。俺の味…。


俺の料理を食べて、お二人は
あんなに大きく育ったんです。
俺のおかげです。」





ヘヘって、隆二さんは
悪戯っこみたいな笑顔をみせる。







「留学なんかしなくても、五十嵐の料理人として恥じないように、料理の勉強だけは
してきたつもりです。

まぁ、俺には、絶対的な味覚と、
想像力、センスがあるんで、誰にも負けないですけどねー。」







「隆二さんの料理……、」







ん、って眉をひそめた彼が、私に視線を送る。

またやってしまった。







「隆二…の、料理、私、好きです。

とても、温かいから。」








「坊ちゃんはね、お小さい時から
好き嫌いが多くて、すごく苦労しました。」






…そうなんだ、







「お嬢は、お小さい時から、本当に可愛いらしくて、お嬢のために 俺は料理を作ってた、といっても過言じゃないくらいです。」






…それ、なんかわかるな。

隆二さんは、未だに、ものすごく、
お義姉さんを 特別扱いしてる気がする。






「それがね、最近…
俺の料理を食べて、すごく 幸せそうな顔をする方が、この屋敷に嫁いでこられたんです。

料理人として、一番嬉しくて、
誇らしい瞬間です。」






………。







「若奥様、もっと笑ってらしてください。
とっても 可愛いらしい笑顔をお持ちなのに、
勿体無いですよ。」








「コレをあげます。」





カフェエプロンのポッケから出てきたのは、、








「………スノーボール？」









真っ白な粉糖でおめかしされた、
コロン、としたフォルムが
可愛らしいクッキー。









「楓坊ちゃんが、英会話を頑張った
ご褒美に焼いたんです。




若奥様、このスノーボールはね、
昔、楓坊ちゃんと同じ様に、幼い剛典様が
お勉強や習い事にと、忙しくされてる時のご褒美に、よく作ってたんですよ。


俺の作る スノーボールが、
坊ちゃんは好きで、よくねだられました。」

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