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己「…着きましたよ。」
大学4年間の学び舎を去り、
袴姿のまま やってきたのはパパの会社。
直人さんに会えるかな…
・
コンコン。
A「パパ。無事に卒業したよ。」
笑いながら見せた卒業証書に
広「ごめんな。卒業式行けなくて…
A 卒業おめでとう。」
申し訳なさそうに謝った後、
パパは優しく抱きしめてくれた。
広「ランチに行って、写真館に行こう。
すぐ行くから、先に下で待ってなさい。」
パパと写真を撮るのは成人式以来かな。
あの日も、こうして式典の後 会社を訪れた。
淡い期待を胸に。
振袖姿の私を見つけてくれた彼は、
目を細めて笑いかけてくれた。
『とても綺麗ですよ。』
彼の声が胸に響いて
なかなか振袖を脱ぐ気になれなくて
随分と直己を困らせた。
最後は『いい加減になさい。』と冷たく
言い放つ直己に
無理矢理 振袖を剥ぎ取られた。
「Aさん!」
会社の前でパパを待つ私の胸を躍らせたのは…
姿を確認しなくてもわかる彼の声。
A「…直人さん。」
隣にいた直己が眉をひそめる。
「…じゃあね。直人。」
ヒラヒラと手を振って彼に別れを告げたのは
彼の恋人。
…綺麗な人。
私の持ってないものを持ってる人。
知性、社交性、社会的地位、
自信、美貌、自由、生活力、
…恋人。
そのどれもが彼女を素敵に魅せる。
羨ましい。
きっと彼女は自分の未来を
自分で決めて 歩いていける人。
敷かれたレールの上を歩かせられる、
私とは違う。
好きな人と結婚できる人。
直人さんと…結婚するのかな?
付き合って3年なら…
二人とも、結婚を考える年齢なんだから…
自然な流れ。
NT「…袴姿もよくお似合いですね。
今日は社長とお写真ですか?」
ドロドロした私の感情なんて知る由もない彼は
屈託のない笑顔を私に向ける。
A「…ハイ。
これから母も合流して 昼食を食べてから
写真館に行くんです。」
NT「素敵ですね。
今夜…6時過ぎに
お宅にお迎えにあがります。」
『お迎えにあがります。』
思わず口元が緩む。
今しがた感じていた
ドロドロした感情が嘘のように、、、
直己は…
車に乗ってもニヤニヤと不気味に笑う私を
バックミラー越しに見ては溜息をついていた。
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花(プロフ) - モンちゃんさん» えー!!ありがとうございます!(*´▽`*)嬉しいなぁー(o´艸`) (2017年1月8日 20時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)
モンちゃん - もう5回は読み返してます!本当に面白いです!こんな神作品ありがとうございます!!! (2017年1月8日 20時) (レス) id: 9e3f92db11 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - はるさん» ありがとうございま〜す(*≧∀≦*) (2016年10月31日 10時) (レス) id: 7824eede86 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 今から2回目読み返しまーす!楽しみで仕方ありません(><) (2016年10月31日 8時) (レス) id: e0948c858b (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - よっしいさん» ありがとうございます〜♪(´ε` )読み返し、嬉しいな! (2016年9月19日 14時) (レス) id: 786bbe97ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2015年10月30日 20時