Powder Snow〜お嬢様の恋〜

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NT「…えっ？

上着、預けるんですか？」







A「……？

そうですけど。」





クロークに預けたクラッチとボレロ。

彼の腕に 少しだけ絡ませた自分の指を

ずっと見ていた。




夢にまで見た光景。

今日が終わらなければいいのに。

そしたら…ずっと直人さんといられるのに。



そっと盗み見た横顔は やっぱり素敵すぎて

腕に絡めてない方の手を胸の前で

キュッと握った。








NT「Aさん…

お酒は飲めますか？」






A「………飲んだことないです。」





NT「…飲めないんじゃなくて？

飲んだことがないんですか？」






A「………ハイ。

飲んでみたいんですけど…

酔っ払うという感覚が、、ちょっと恐くて。

お酒を飲む機会もなかったですし。」






NT「…デートとかしないんですか？」






………デート。





A「………ないです。

男の人とお付き合いしたことがないので。」







NT「………………本当に 箱入り娘ですね。」






そう言って私にノンアルコールの飲み物を取ってくれた。








A「……………子供ですよね。」









NT「…とても大切にされている、と言うことですよ。」






スマートな対応もそうだけど…

考え方も、

言葉の選び方も、

直人さんは すごく大人。








NT「いつか、Aさんを

大切に想ってくれる男性が現れますよ。


その時まで、

大事にとっておけばいいんですよ。」






……そんな人は現れないです。

もし、現れたとしても…

私は貴方がいいです。




何も望まないから、、

見てるだけなら許されますか？

想ってるだけならいいですか？




貴方の瞳に 私が女として映らなくても、

貴方の心が 他の人を想っていても、

やっぱり 私は貴方しか見えないんです。




報われることのない恋だと知っていても。

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