部活 ページ9
とりあえず今日のところは文芸部を見学させてもらった。
意外と活発な部活で、月に一回刊行している冊子に載せる小説を描いたり、連歌を書いてコンテストに出展している。
さすがに私に創作活動は無理だった。文芸部はあきらめよう。
部活は入らなくたっていい、そう思っていたらなんと生徒はいずれかの部活に所属していなければならないという衝撃的な校則が存在していた。
そんなわけで部活選びにこれから励まなければいけない。
楽な部活があればいいのだが、どいつもこいつも元気に活動しやがって…。
翌日から早速授業が始まっていった。
1度やっているないようなので簡単ではあるが、苦手な教科は何度やってもだめだった。
特に数学。まだ1番初めの授業なので大丈夫だが、合間に教科書をぱらぱらとめくると日本語ではないように見えてだんだん気が遠くなっていった。
「なあ、今日バレー部見学こいよ」
終礼が終わると灰羽くんにそう話しかけられた。
バレー部を遠慮する理由は、マネージャーをやりたくない、仕事多そう、面倒くさい、いろいろある。その中でも特に私がマネージャーをするのにふさわしくないというのと、漫画の世界にあまり関与したくない、というのがあった。
「えー、でも私マネージャーやるのにふさわしくないっていうか」
「そうか?Aさん面白いし、いいと思うけど」
面白いか私!?ってそうじゃなくて。
「みんな強い目標をもって取り組んでる部活に、私みたいなただ生きてるような人間がいたら邪魔になるよ」
私には特にこれと言って目標や夢はなかった。
前の世界でだって、近所だったからという理由で高校は選んだし、部活は運動不足解消の手段、大学だって私の成績で入れる中で名前の有名なところを何となく選んでいた。
そんな私が、住む世界が変わったからと言って変われるわけもなく。
なぜかここにいて、仕方なく状況に合わせて生きているだけなのだ。
「…別に、目標とかなくてもいいんじゃない?
それに、お前が邪魔かどうかなんてわかんないじゃん」
「一人でも適当な人間がいたら雰囲気って簡単に壊れちゃうんだよ」
「Aさんなら大丈夫だよ」
意外だった。灰羽くんの眼はいたって真剣で、私をまっすぐに見据えていた。
私は思わずどきっとしてその場から一瞬動けなかった。
「…ど、どう、して…」
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作者名:餃子 | 作成日時:2018年11月20日 21時