コミュニケーション ページ24
早いもので、もうゴールデンウィーク目前。
というか明日から。
今日はGW前最後の平日で、特に大きな変化はないけれど、どこかソワソワした感じがする。
いいなあ、どこか遊びにでも行くのだろうか。
私は最近本を買いすぎて金欠気味だった。
本といっても文学ではなく、バレーのルールブックやスポーツマッサージの本、テーピング見本、スポーツ栄養学など。言ってしまえばすべてバレーボールのための本だ。
高校生は参考書や漫画を買いそうなものだが、授業は3年間一通りやってしまっているので数学、物理、世界史以外は難なくこなせてしまうし、
漫画は買いに行ってもどれが面白いのかよくわからない。
おすすめされれば喜んで読むのだが。
そんなわけで、遊びに行こうにも遊びに行けないのだった。
この悲しみは誰にも分らないだろう……！
1か月も部活をしていれば、さすがに仕事の要領は掴んだ。
こんな余計なことを考えながらでも仕事がこなせるまでに成長したのだ。
仕事内容がわからなくて先輩たちを困らせてばかりいた1か月前が懐かしい。
麦茶とドリンクをつくり終え、体育館に運んでいく。
丁度練習がひと段落付きそうなところだった。
抱えていたかごを置き、監督から集めるように頼まれるといつも通り、声が通るように発声した。
「研磨さん、お疲れ様です」
「どうも…」
「犬岡くん調子よさげだね」
「おう！昨日めちゃくちゃ寝たからかな？」
部員と話すこともすっかり緊張しなくなり、
むしろこうしてコミュニケーションをとっていた方が体調の変化に気づけたりするので、
めんどくさくない範囲で話している。
いつかは目視だけで健康管理ができればいいと思う。
そっちの方が速いし。
「Aー疲れたー」
「エースになりたい人はこれくらいじゃ疲れません」
「そうだけど」
この部活で一番末っ子気質なのはこいつ、リエーフなんじゃないか。
現にリエーフはいつも夜久さんに世話を焼かれている。
いつも夜久さんが大変そうだけど、なんだかんだかまってくれてるのは後輩が好きだからだろうか。
めちゃくちゃいい人。
「リエーフは基礎が全然だからなー」
「はやく試合がしたい…」
「守備力上がってからだね」
リエーフは運動センスはとてもよさげなのだ。
後は技術力とパワーがついてくれば化け物なみに強い選手になれる。はず。
「じゃあさ、自主練とか付き合ってよ」
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作者名：餃子 | 作成日時：2018年11月20日 21時
