ルーティーン ページ23
あれから2週間ほどたった。
私もマネージャーの仕事にはだいぶ慣れてきて、
毎日のルーティーンも少しづつ形成されている。
am7：00に学校が開くのでそれより5分だけ遅く学校へ行く。
朝早く来る部員＿＿大体夜久さんかトラさん＿＿と一緒にポールをたて、ネットをつける。
それが終わると部室へ行ってテーピングセットを取ってくる。
最近パス練で突き指をする人が増えてきたのでいっそ手元に置いておこうといった考えからだ。
全体の技術力が上がればケガも必然的に減るだろう、それでも一応この習慣は続ける。
朝早く来るのは自分がゆっくり準備できるからと、人が集まってくると部室は完全に更衣室になってしまうからだった。
更衣室と化した部室に、さすがに女子である私が入っていくのは無理だ。
必要なものを大体揃え終わると、最近はボール拾いをしている。
トラさんが打ったボールを、夜久さんが受ける。そしてそれを回収してボールかごに戻す。
「あっありがとうございます」
「いえ」
未だにトラさんは私と話すとき緊張しているようだ。
まあこれでも最初に比べればだいぶマシだが。
初めは私から声をかけても目を合わせてくれなくて、声もよく聞き取れなかった。
コミュニケーション不可？と思っていたが回数を重ねればだんだん慣れたのか、
ぎこちなさは残るものの、それなりに話せるようにはなった。
7：20になると大体の部員は揃う。
全員揃った様子を見て、アップ、ストレッチ、フットワークの順でいつものをこなす。
アップは特に私がやらなくてはいけないことはないが、
監督から聞いたメニューに合わせてタイマーを出したり、ビブスを出したりなど状況に合わせて働く。
私が練習にかかわらなくてはいけないのはストレッチからだ。
柔らかい人たちは彼ら自身でできてしまうが、固い人たちは他からの援護が必要になる。
「灰羽くん、倒すよー」
「あだだだだだだ
鬼！A鬼だって！」
「その鬼をしつこく勧誘してきたのは誰だったかな」
「俺でした」
「あれ、灰羽くんいつの間に私のこと名前で呼ぶようになったの」
「なんか『Aさん』って呼びにくかった」
「あ、じゃ私もリエーフでいいや」
フットワークでは笛を鳴らしてスターターをする。
腿上げからダッシュをしたり、低い姿勢を保ったり、まあ見ていて大変そうだ。
やっている本人たちには悪いけれど、マネージャーでよかった。
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作者名：餃子 | 作成日時：2018年11月20日 21時
