1年ズ ページ20
一通りメニューを終え、片づけを始める。
準備に参加することができなかったので片づけに精を出したい。
使ったタイマー、ストップウォッチ、ボールのかごなど、用具の場所などを把握したい理由もあった。
一番近くにあったタイマーをまずは片づけるとしよう。
コンセントからプラグを引き抜き、コードを束ねてからタイマーを抱えた。
そこまで重くはないが、形状が形状なだけに、少し抱えづらい。
タイミングよく福永さんが通りかかった。
「福永さん、このタイマーってどこに仕舞いますか？」
福永さんは私と代わってタイマーを持ってくれようとしたけれど、そこはやはり後輩の私なので遠慮しておいた。
倉庫の中まで案内してくれて、棚に置くところはさすがに手伝ってもらった。
「ありがとうございます」
「うん」
この人あまりしゃべらないタイプの人だったか。
だからと言って近寄りがたいわけでもなく、むしろなにか不思議な魅力さえ感じる。
「A、モップ掛けしといてくんない？」
部長と話す機会は自然に多くなってしまうのか、今日の部活中実は最も回数多く話しているかもしれない。
「あ、はい。…ん？モップ？」
「モップの場所知らないか、んじゃ海に聞いといてくれ。
俺今から監督のところ行くからさ」
海さんを探せと言われたが、肝心の海さんが見当たらない。
どうしようもないので近くにいる人にでも聞こう。
「あ、あのさ、しば…芝…」
「芝山だよ、Aさん。どうしたの？」
「あはは、ごめんね芝山くん。
モップ掛けしたいんだけど、モップってどこにあるか知ってる？」
「それなら俺も今するところだったから、一緒にいこ」
「モップ掛けが何かも教えてくださるとありがたいです」
芝山くんは中学からの経験者なようで、体育館の使い方はいろいろ知っているようだった。
先輩がいなくて困ったら芝山くんに尋ねよう。
物腰も柔らかで、冗談も通じて面白い子だ。
すぐに意気投合して会話も弾んだ。
途中犬岡くんも混じって3人でモップ掛けをした。
犬岡くんも気取らない性格で、なんや同級生にはいい子しかいないのかと天に召してしまいそうな気持ちになった。
黒尾さんが戻り、召集がかかった。
明日、土曜日の練習についてのお知らせだった。
午前中ずっと練習するらしかった。ひえ…
今日だけではまだ仕事に慣れないのでいきなり長時間練習というのは心がしんどい。
何とかポジティブを保っていこう。
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作者名：餃子 | 作成日時：2018年11月20日 21時
