マネの仕事 ページ18
「マネージャーをやらせていただきます、AAです。
よろしくお願いします。」
「うちの部に遂にマネか」
「ありがとうね、入部してくれて」
こんなに暖かく歓迎してくれるものなのか、今までない経験に驚いた。
部活ってこんなに暖かいものだったんだ。
自己紹介が終わると昨日のように監督から練習メニューをもらって、先輩に教わりながら練習をこなしていった。
私はマネージャーになったのはいいが、何から手を付ければいいのかさっぱりだった。
昨日調べたサイトによると、マネージャーの仕事というのは
毎日のメニュー、スコアなどの記録、
用具の準備・管理、
練習中の飲み物の用意、
審判の手伝い
など、挙げだしたらきりがないほどある。
全部ひっくるめて選手のサポートを簡単に言っていた友人を尊敬してしまう。
監督は選手の指導をしている最中で話しかけられそうにないので、とりあえずメモ帳に今日行われる練習についての記録をとった。
「よし、いったん休憩!」
主将の声でわらわらと人が集まってくる。
な、なんだ、飲み物ならまだ作れてないぞ、と焦っていたらちょうど私が立っているあたりにタオルが置いてあったらしく、それに向かってきていたようだった。
備品については主将や部員に聞いたほうがいいのだろうか、休憩中で申し訳ないが主将に聞くことにした。
「黒尾さん、あの」
「んー何、A」
「き、休憩中申し訳ないのですが、マネージャーの仕事についていろいろ聞いてもいいですか?」
何が面白いのかめちゃくちゃ笑っている。
この人とは何度か話しているが、全くつかめない人だ。
私が怪訝な顔をしていると海さんが
「そんなにかしこまらなくても、黒尾は人を食べたりしないよ」
と笑いながら言った。
いかにも凶悪そうな顔をしてらっしゃいますがね。
とそんな失礼なこと思っても決して口には出せない。
「マネージャー今までいたことないから俺もわかんないのよ」
主将がわからないことが私にわかるだろうか、否。
抱えていた不安がどんどん加速していたが、
「一緒に考えてこうな」
と一言もらえただけで充分落ち着きは取り戻せた。
貧血になった私、いや、「私」を助けてくれたように、実は優しい人なんだと思う。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:餃子 | 作成日時:2018年11月20日 21時