体験のミニゲーム ページ13
チーム分けが終わったのか、そろそろと人が二手に分かれていった。
黒尾さん、さっきの薄い色素さんをそれぞれのリーダーに集まっている。
交流を深めているようで、それぞれのチームが和気あいあいを話をしていた。
いいなあ、ああいうの。
今までいた部活がドライであっただけで、私が仲のいい部活に憧れがないというわけではない。
ふと黒尾さんの方を見ると、黒尾さんは私を指さしてモヒカンの人に何かを言っているようだった。
モヒカンさんが私を見つけると、ビシッと姿勢がよくなり、90度の礼をした。
心なしか顔も赤く見える。まあ気のせいだろう。
お礼に対し私も軽く会釈すると両手を口元にあてている。乙女か。
いよいよゲームが始まる。
初めのサーブは黒尾さんがするようだ。
漫画で見たようなジャンプサーブではなく、普通のフローターサーブだった。
初めての人でも取りやすいようにするためだろう。
黒尾さんが打ったボールはネットを超えて、多分隣のクラスの子がレシーブをした。
ああ、今のは右足が出るのが遅かったのかな。
あがったボールはコート中心よりやや右にそれたところへ向かっていった。
それを薄い色素さんがオーバーハンドであげると、灰羽くんが無理やり押し込んでいった。
あまりいいフォームとはいえないんだろうなあ、今のは。
菩薩顔の先輩がスパイクを拾うと金髪さんの真上に落ちていく。
金髪さんは多分1組の人にトスをあげた。
そんな感じでメンバーをとっかえひっかえしつつ、ミニゲームを3回ほど続けた。
3回もやれば1年生は下校しなければいけない時間になり、私も下へ降りていった。
帰るときはあの薄い色素さん…いい加減名前を思い出せないだろうか、あの人に声をかけるように言われていたんだっけ。
「あの、」
「ああ、Aさん。最後までいてくれたんだ。どうだった？」
「いつの間に私の苗字を…！」
「リエーフが言ってたからな。
俺名前は多分まだ言ってないよな、俺は夜久衛輔」
「よろしくお願いします、名前はAです。
ゲーム、見ていて面白かったです」
本物の試合と比べればもちろん迫力に欠ける部分もあるが、それでも試合を見ること自体は好きなので楽しめた。
「そうか、よかった。うちマネージャーいないから入ってもらえるとすげえ助かるんだ。
興味持ってくれたらぜひ入って」
「考えておきます」
夜久さん、本当にいい人だな。
申し訳ないけれど、バレー部には入れないです。
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作者名：餃子 | 作成日時：2018年11月20日 21時
