◇ ページ44
『はぁ…』
手には“不採用通知”と書かれた紙。
私はそれを思い切りくしゃくしゃにして部屋のゴミ箱に投げ捨てた。
これで何十社目だろうか。
感覚が麻痺してきて、最近ではもう不採用通知を見ても悲しいとさえ思えなくなってきた。
これだけの数の会社にいらないと言われる自分は、一体何なのだろうか。
泣きながら履歴書やエントリーシートを書き続ける毎日。
うっかり涙がこぼれてしまい、文字が滲んで書き直しになったことも。
東京だから働き口はたくさんある。
だが、それと同じくらい就職希望者もいる。
新卒だけではなく、第二新卒や中途、派遣の人だっているのだ。
人がたくさんいるからこそ、企業だって人を選べる立場にある。
誰でもいいから、などと言う会社はおそらく従業員を蔑ろにする会社だ。
それこそ捨て駒にしか思っていないような。
いっそ地元で就活をしてみようか。
ただ、そうすると彼とは遠距離恋愛になってしまうが。
そもそもQuizKnockという接点を失った私達は、この関係性を維持することができるのか？
今でさえほぼオフィスでしか会えず、デートなんて1年半の交際の中で数えるほどしかしたことがない私達が。
週の殆どをメディアの出演に費やす彼が、電車で2時間の距離の私に会いに来てくれるのだろうか。
いや、私が会いに来ればいい。
平日は無理かもしれないが、休日なら。
そもそもなぜ都内にいたいのに、私は彼と離れてまで地元で就職をしなければならないのか。
考えれば考えるほど答えは出ない。
しばらくオフィスにも行けていないからか、苛立ちが募っている。
リフレッシュも兼ねて、今日はオフィスに行こう。
しかし、久しぶりに皆に会えることを楽しみに思う余裕もなく、私は移動中もスマホで必死に就職支援サイト検索するのだった。
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作者名：*ゆ う* x他3人 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年3月14日 6時
