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返信が来るまで参考書とパソコンのモニターを交互に見る。
数分同じことを繰り返しているとAさんが書き込んでいると思われる表示が。
深夜のお供のコーヒーをひと口飲んで落ち着かせる。
どんなテストよりも緊張してしまう。
[ A:夜中だけど良いの?つるちゃんが良ければ私も通話したい! ]
思っていたより嬉しい返信が届き、持っていたシャーペンを空中に投げつけていた。
目の前にある公式なんてスッと頭に入ってきそうだ。
そして急に襲いかかる不安。
Aさんの年齢等は把握しているが、Aさんには僕の年齢を言っていない。
高校2年生、17歳。彼女はいない。
参考書と数学がお友達…でもないけど。
引くかな?
22歳から見たら僕なんてお子さまなんだろうな。
身長だけは大人クラスなんだけど。
[ つる:僕は大丈夫です。いつでも通話可能なのでAさんのタイミングでかけて下さい。]
返信してからあまり使うことの無かったヘッドセットを取り出す。
いつでも通話可能にしておく。
顔を知らない人と話すのは初めてだ。
張り裂けそうな気持ちを抑えるように数学と向き合うも、出来てたはずの計算が上手くいかない。
なんてこった。
こんな簡単な計算も暗算出来ないなんて。
僕の中はAさん一色に染まっていた。
そしていきなり鳴り出す通話受信音。
久しぶりに聞いてビクつく。
マウスを手にして通話開始ボタンをクリックする。
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作者名:*ゆ う* x他3人 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月14日 6時