【QK】春が来るたび貴方に逢える【コラボ企画】 (ページ19)

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白い日と黒い感情 sgi ページ19

もうすぐホワイトデーがやって来る。

先月の14日、付き合って半年になる彼女から小さな紙袋を渡された。

品のいい紙袋の中には、シックな色合いの箱が入っていて。

早く中身を確認したくて勢い良くそれを開ければ、そこには店で売ってるものだと言われても信じてしまうくらい、美味そうなチョコレートケーキが。

『あんまり上手に作れなかったんですけど…』

と彼女は控えめに呟いていたが、世界一いや宇宙一可愛い彼女から貰ったとなれば、例えそれがまずかろうが何だろうが死ぬほど美味く感じるのだろう。

というか、期待して食ってみたら見た目の通り店の味だった。
むしろGO◯IVAより美味いんじゃね？というくらい。
何があまり上手くできなかったのか逆に教えてくれ。

さすがは俺の宇宙一可愛い彼女だ。
料理も世界一である。
ちなみにド理系なもんで、我ながら宇宙一という表現は違和感があるのだが、他にぴったりな言葉が思い浮かばん。

そんなこんなで素晴らしいバレンタインプレゼントを貰ってしまったので、俺はそれを上回る素晴らしいホワイトデーのお返しをすることを余儀なくされた。

まずは情報収集から始めるか。
いつもの研究室帰り、俺はオフィスには向かわず有名な百貨店へと足を伸ばした。

案の定そこにはホワイトデーの特設コーナーがあったのだが、明らかにそこだけ人口密度が高いことに俺は開いた口が塞がらなかった。

さらに驚いたのは、ホワイトデーのお返しだというのにそこにいるのは半分が女性であること。

今やバレンタインは女の子が男に愛の告白のためにチョコを渡すだけのイベントではなく、したがってそのお返しをするのも男だけではないことを痛感させられた。

およそ5秒ほど立ち止まってその光景を見つめた後、ふと我に返った俺は気合を入れてその人混みの一員となることを決意する。

チョコレート、クッキー、焼き菓子詰め合わせ…

どうやらホワイトデーは「バレンタイン＝チョコレート」というように定番がないため、さまざまなものの中から選ばなければならないらしい。

それが大変だとも思ったが、案外数多くからこれだ！と思うものを選ぶのが好きな俺は、彼女が喜びそうなものを目をかっ開きながら探し始めた。