岩本くんは結婚したい

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浮かび上がった2本線に、上手く言い表せない感情が芽生える。嬉しい、でも不安。不安、だけど楽しみ。









『……照に何て言おう』








赤ちゃんできたよ！とか？他の人がどんな風に旦那さんに伝えてるのか分からない。

友達に報告すると、泣いてるうさぎのスタンプが1個と、また明日電話するね、という心強い言葉が返ってきた。










「っ、A！？体調は！？」

『うわっ！！！！』












ドアの音にも気づかず、こちらに向かってくる足音さえ気づかずにスマホの画面と睨めっこしていたのだろう。

照が肩で呼吸しながら、がばっと抱きしめてきた。











『び、っくりしたぁ』

「あ、ごめん。いや風邪引いた！？と思って」

『ううん。大丈夫だよ』

「いやでもちょっと体温高くね？明日も俺仕事だから病院行く？」











意外と、心配性な照は、すでに私を病院に連れて行く気まんまんで病院の診察カードをごそごそと探している。










「今から間に合うかな？」

「てか点滴とかになったらどうする！？」

「俺今仕事休めないから、絶対今日行って薬もらってこよ！？」











自分のことじゃないのに、これほどまでに心配してくれる旦那さんを見て、心がさらにじんわりとあたたかくなる。

あ、この人とならきっと、この先何があっても大丈夫。

結婚したときに感じたことを、また思い出す。だから不安に思うことなんて、一つもなかったんだと思う。














『……照、病院、ここじゃない』

「あれ？ここじゃなかった？病院変えたの？」

『ううん。行くなら、こっち』













風邪を引いたらいつも行っていた病院に電話をかけようとする照からスマホをもらって、友達に教えてもらった産婦人科のサイトを開く。












「さん、ふじ、んか、」

『赤ちゃん、いるみたいなんだよね』










いるみたいなんだよね、って、この口下手な感じが私らしくて、これはこれで良いかなと思った。












「………え、あ、の、赤ちゃん？」

『そう。私と照の赤ちゃん。来てくれたみたい』









パニックになる照を見て、思わず笑ってしまって、固まっている照を今度は私がぎゅっと抱きしめる。











『パパだね、岩本さん』

「……っ！めっちゃ嬉しい！ありがとうっ！」








その「ありがとう」が嬉しくて。涙が自然と溢れてきた。私の方こそ、いつもありがとう


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