岩本くんは結婚したい

再びおかえり ページ27

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岩本さんがドラマや映画の撮影が続く、ということで、珍しくしばらく会えない日々が続いている。

まめに連絡をくれるのは、さすが岩本さんという感じ。








「こんにちは」

『っ…あ！社長さん、』

「厳密にいうと社長じゃないけど、笑」

『申し訳ありません…』

「あ、今時間大丈夫？急に来ちゃってごめん」













社長さん改め副社長さんは、その綺麗な顔に申し訳なささを出していて、何だか私も釣られて申し訳ない気分になる。

そんなことないですよ、と淹れたてのコーヒーを差し出すと、さわやかな笑顔を向けてくれる。















「岩本のこと、ごめん。気を遣わせたね」

『いえっ！私こそ、何も考えずごめんなさい』

「…よろしく頼むね。あいつ真っ直ぐなやつだから」












その言葉の意図は何ですか。そのまま受け取っていいのかな。よろしく頼むね、って、そういうことなのかな。

副社長さんは嘘をつくような人ではなさそうだし、ん〜、と一人で唸っていると、またあの爽やかな顔で微笑んでくれる。






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『もしもし、』

「あ、俺。照。今何してるの？」

『今帰り道だよ〜』

「え！？タクシー乗ってって言ったよね！？」












帰り道に買い物もしたくて歩いて帰っていたところに、岩本さんから着信が入った。夜道は危ないからとタクシーを使って欲しい、とまた駄々をこねられた。
















『…歩いてると、その分、岩本さんと電話できるから。だめ？』

「……え、なにそれ。苦しい。好き」

『こうやって電話しながら帰るのも好きなの』

「じゃあ直接話しながら毎日帰ろう」












え？と言いながら気づいた。妙にハウリングしていて、岩本さんの声が近くに聞こえる。…ということは。











「ただいまAちゃん」

『…いつも突然ですね、笑』













おかえりなさい、と抱きついてきた岩本さんに伝えると、いつものあの笑顔を私だけに見せてくれる。疲れたね？とかどんな仕事だったの？とか、聞きたいことはたくさんあるけど、今日は何だか抱きつきたくなった。











『…おかえりなさい、会いたかったです』

「俺の方が何百倍も会いたかったし、大好きだよ」

『張り合わないで！笑』

「俺に勝とうだなんて100年早いよ」









どちらともなくキスをして、2人でふふっと笑い合う。すごく幸せだな、と思う反面、妙な寂しさもある。すぐにその寂しさは消えることになるけど。

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