岩本くんは結婚したい

そんな練習はいらない ページ15

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【何とあの人気グループメンバーに熱愛報道です！】





その言葉を聞くたびに、心臓が飛び跳ねそうになる。エンタメニュースを見ていれば、連日誰かの恋愛事情が報道されている。一般の人のことは全然興味ないくせに、芸能人だって仕事がメディアなだけで、実際はみんなただの人なのに。






店長「A子さん早く準備しちゃお〜」

『……あの、私A子さんじゃないですってば！』

店長「いつすっぱ抜かれるか分からないから練習」

『………そんな練習はいらないですよ』












芸能人と一般人が報道されれば、当然一般人の方は実名ではなく、A子さんやC子さん、男性Aなどと表現されるわけで。岩本さんと出かけたことが店長にバレてからは、そうやって私はいじられる日々を迎えている。













『…今日も岩本さん、来ないな』










あの日、岩本さんからキスをされた。けど、そのあとは何もなかったかのように岩本さんは過ごしていて、私も何も触れなかった。

その次の日からあんなに毎日来ていたくせに。岩本さんはカフェに顔を出さなくなっていた。連絡もない。















店長「仕事忙しいみたいじゃない。売れっ子だし」

『え、売れっ子なんですか？』

店長「…ごめん、逆に何で知らないの？」












あんなに動画を見せてもらったのに、未だに岩本さんがどんな活動をしているのかいまいち分かっていない。

売れっ子と聞いて、さらに色々と不安になる。やっぱり何かあったのかな。









「すみません、」








ぼーっとしていて気付かなかった。すごく目の綺麗な男性がいて、私に話しかけていた。













「ここのおすすめを１つ」

『はい。甘いのはお好きですか？それとも無糖派ですか？』

「ん〜そうだな、いつもは無糖だけど今日は甘めで」

『承知しました。お店で飲んで行かれますか？』












いや持って帰るよ、とマスク越しに、ふわっと笑ったのが見えるそんな感じの柔らかい印象の人。

目だけじゃ年齢は分からないけど、私よりは上で、きっと岩本さんよりも上くらい。












『お待たせしました。荷物が多そうなので、袋に入れておきました』









いつもは無糖派というので、オーツミルクでラテを作った。ほんのり甘いだけのラテ。片手にカバン、脇には書類を挟むその人のために、袋にラテを入れておく。









「またね。ごちそうさまでした」







………あれ、どこかで聞いたことのあるセリフ。





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