岩本くんは結婚したい

笑った顔はずるい ページ13

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『うわぁ…！！！！』

「Aちゃん来たがってたでしょ。ここ」








某有名なテーマパークに到着した瞬間、小学生のようにはしゃいでしまう。この間ぽろっとこぼした言葉を岩本さんは覚えていてくれたんだ。嬉しい。








「んじゃ、行きますか」

『…ばっちりですね、服装』

「だてさんに借りてきた」

『意外と似合ってる、笑』








隣を見るとさっきまでは変装しないと豪語していたくせに、サングラスをつけて、キャラクターのファンキャップを身に纏う岩本さん。

服装がシンプルだから結局はオシャレになるんだけど、さすがにサングラスとのギャップがおもしろい。










『…ばれますって、さすがに』

「いいってば！俺今日はAちゃんを楽しませるために来たから」









さりげなく手を引いて歩き出す岩本さんの後について行く。ちょっと歩くと離れた手に、寂しさを感じる。

でも手を繋ぐ理由はないし、繋いだらそれはそれで色々面倒になるかもしれないし、でも、と頭の中でぐるぐるしていると、









「…手、を、繋ぎ、たいです」









普通はきゅんってするシチュエーションなのかも知れないけど、サングラスにかわいいキャラクターを纏う岩本さんには思わず笑みがこぼれる。









『…岩本さんがいいなら、』

「っ、」








いつもなら嫌がるし、やめてください、と突き放すからだろうか。私が肯定的になると、びっくりした表情になる岩本さん。きっとすごい目を見開いてそう。だって口あいてるもん。












「……あー、帰りたくねぇなー」

『まだ来たばっかりですよ』

「泊まろうかな」

『…明日は仕事でしょ』










周りは意外と自分たちのことを見ていない。そんなこともないかも知れないけど、限られた時間の中で、目一杯楽しむことにした。

だって岩本さんがこんなに笑ってるの、初めて見たんだもん。











「Aちゃん見て！これ佐久間みたい！笑」

『ほんとだ！目が似てますね笑』









ポップコーンバケツを首からぶら下げて、私よりはるかに楽しんでいる岩本さん。……かわいい。


絶叫系が意外と苦手で、降りると吐きそうになっている岩本さんがおもしろくて、かわいくて、初めて自分の携帯で写真を撮った。








「あ、ここで写真撮ろう！」








初デートの記念に、と改めて言われると、急に胸が苦しくなる。岩本さんって、そういうの好きなんだ。






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