さっくん先輩 ページ6
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『失礼しました〜』
先生から授業のプリントを受け取って、職員室から教室へ向かう。
『ふふっ、』
先生の赤い文字で大きく、「は?」と書かれているその人のプリントを見て、廊下で1人吹き出す。
?「なーに笑ってんの!」
『あ、さっくん先輩』
私とそこまで背が変わらない、お兄ちゃんの仲良しの先輩さんが立っていて。
相変わらず女の子が羨ましいほどの顔面。
『これ、見てください、笑』
佐久間「なになに〜?」
そのプリントを見せると、さっくん先輩も大きな声で笑い出す。
佐久間「こいつめっちゃやばいやつじゃん!笑」
『でも、何かかわいいな〜と思って』
佐久間「Aちゃんだけっしょ。そう思うの!笑」
『え〜』
途中までさっくん先輩と一緒に階段を上がる。
さすがは昼休み。たくさんの人がいるわけで。
?「渡辺さんだ〜」
?「目黒くんといつもいる人だっけ?」
?「てか、付き合ってないらしいよあの2人」
別に嫌なことを言われているわけじゃないけど、「目黒蓮」というワードに反応してしまう。
目黒蓮はモテる。この女の人たちも、前に目黒蓮に告白してた人だと思う。
佐久間「なに。まだ自信ないの?」
『………まだって何ですか、まだって』
佐久間「目黒とは相当お似合いだよ。いい加減、背筋伸ばせよ」
私の髪の毛をくしゃくしゃ、っとするさっくん先輩が、人生で初めてかっこよく見えた。
別に自信がないわけじゃないけど、
『……どうして、私なんだろう』
よりどりみどり、と言えるほどではないかも知れないけど、目黒蓮だって女の子を選べるはずだから。
すごく仲良しっていうわけでもなかったのに、ここまで一緒にいてくれるのはどうしてなんだろう。
『………なんだこの男、』
先生の赤いペンの下に、うっすらと見える文章をまた読んでみる。
「となりで寝ているAの顔だけ見ていた1時間でした。授業はわかりませんでした。ごめんなさい」
プリントの一番上に書かれている「目黒蓮」というやたら綺麗な文字からは想像できない、授業の感想シート。
さっきまではかわいい、と思ってたのに今はなんだかモヤモヤする。
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作者名:ぴよまる | 作成日時:2021年2月26日 12時