なべの願い ページ21
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佐久間が、Aちゃんを好きだと俺たちに言い始めたのは、入社式の夜だった。
佐久間「俺めっちゃ天使みた!!!」
「何言ってんのこいつ。笑」
深澤「分かんないよ、ほんとに天使いたかもよ?」
宮舘「ほんとだもん!ってやつ?」
「だははっ!!!それ聞いたことある!笑」
入社式の日の佐久間は寝坊してきて、しかも髪もぼさぼさで。
だてさんに「社会人なんだから」と言われながら、ヘアセットをしてもらっていて。
『あ、の。ネクタイ、曲がってます』
たまたま振り返った前の席の女の子が、佐久間のネクタイを指差して一言そう言った。
佐久間は、そのままその女の子はネクタイを結び直してもらっていて。
にこにこ笑って、俺らのやりとりを聞いてくれていたのが、このAちゃんなのである。
「ねぇ。俺とデートしない?」
『……しない』
「佐久間とは行ったのに?」
佐久間は、一目惚れだったと言っていた。それから同じ部署になったことが分かって、毎日嫌というほどアピールしているけど、全然気持ちが伝わらないと嘆いてもいた。
「佐久間のこと好きじゃないんでしょ?」
『……へ?』
「それとも好きなの?」
質問攻めにして困らせたいわけじゃない。俺だって、Aちゃんのことが気になる1人だから、少しでも視界に入りたい。
俺だって、会うたびにちょっかいかけて、俺なりにアピールしてるつもりなのに。
『………、佐久間くんが分からない』
『すき、って言うくせに。私に見せたことない笑顔で、誰か他の人としゃべってたり』
『いっつもドキドキさせられてるのはっ、私だけ…!』
また、目にいっぱい涙を溜めるから。
もうさ、佐久間。お前ずるいって。
「さっきのさおりちゃんのやつ。嫉妬したんだ?」
『……してない』
「ふはっ、嘘下手かよ。素直になれよ」
Aちゃんの柔らかいほっぺをぐにっと摘む。
「Aちゃん。こっち見て」
『………?』
くりくりした目で、そりゃもう可愛い顔で、俺を見るから心臓もたない。
「佐久間のこと、ちゃんと分かってやって?」
「あいつね。めっちゃAちゃんのこと好きなんだよ」
俺の思いを伝える前から、もう結果が分かるとかほんと酷すぎるけど。
でも、佐久間のことを信じてあげてほしいっていう気持ちが強くて。
佐久間の願いが叶いますように、と心の底から願った。
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ぴよまる(プロフ) - たまきさん» たまきさん、素敵な言葉をありがとうございます◎岩本さんのお話は、佐久間さん内でしょうか?それとも別物でしょうか?もしご希望あれば教えてください♪ (2021年2月4日 18時) (レス) id: c96c855ee5 (このIDを非表示/違反報告)
たまき(プロフ) - 完結、おめでとうございます!そしてお疲れ様です!とても面白くて、毎回更新されるのが楽しみでした。もしよろしければ、岩本さんのお話も書いていただきたいです!ご検討よろしくお願いします。 (2021年2月4日 11時) (レス) id: bb8fb0fba1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよまる(プロフ) - りーぬさん» 嬉しいです…ありがとうございます◎番外編などなど、書いていこうかなぁと準備しています♪ (2021年2月1日 20時) (レス) id: c96c855ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよまる(プロフ) - 柚さん» ありがとうございます◎どんなお話、シチュエーションをご希望ですかー!?書く準備進めています! (2021年2月1日 20時) (レス) id: c96c855ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよまる(プロフ) - NORIさん» ありがとうございます…!その後はどんなお話が読みたいでしょうか?(^^)書く準備すすめております〜◎ (2021年2月1日 20時) (レス) id: c96c855ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよまる | 作成日時:2021年1月22日 11時