All the beginning 9 ページ9
部屋に戻ると赤いコートの男は当然のようにベッドに腰掛けていた。
『で、何やらかしたんやお前は』
『いや〜派手に動きすぎましたわ〜反省』
ぺちっと自らの額を叩いて戯けた顔を見せる。
『上には伝えたんやろな』
ここで黙ったあたり、どうやら男―――重岡は報告していないようだ。
深く溜息を吐くと、重岡は「それほどでも」などとぬかすので頭に手刀を一発かましておいた。
『痛ったいなぁ、ひどくないですか』
『お前そろそろ殺されんで』
だってぇ。とねちねち何かを言いながらサイドテーブルに置かれたリンゴをしゃりしゃりと食べ始めた。
この男は変わらない。
拾われたときからこのペースで。
ただ、才能と美貌は抜きん出ていた。そこを見込んで育てた、のだが。
若干の後悔を覚えそうになる。
『んで？どうしたんあの子』
シャリシャリとリンゴを齧る音が
夜の帳へ静かに染みていく。
『帰したで』
帰した。そう帰した。
家族の元へあのことなんてなかったように。
けれどもそれは。
『あんたも難儀な方選びまんなぁ〜』
再び瑞々しいリンゴを齧る音。
美しい果実が無残な姿で男に食われていく。
で？
と重岡は目で続きを促す。
『８年』
重岡の頬がリスのように膨れていく。
『８年経つ間に一度でもその話をしたら』
頬へためたリンゴを
笑いながらすべてを咀嚼した。
『消すってか？むっちゃくちゃやな。あんたその間ずっと見張ってるつもりか？あの子が8年経ったらいくつや？家庭持ってるかも知れへん、今より消しにくくなるで？アホやなぁ〜』
あっけらかんと笑う重岡に答える言葉を持っていなかった。
suspended sentence 1→←All the beginning 8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みよ(プロフ) - ジョセフィーヌ・ハルオミさん» 大丈夫ですよー^^無理やりのキスも萌えますよ！！！(もしかしてハルオミさんと私だけの特別な性癖……)2章楽しみにしてます^^ (2017年1月13日 1時) (
レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
ジョセフィーヌ・ハルオミ(プロフ) - みよさん» 返信遅れてしまって申し訳ないです……。いいですよね！！私だけの性癖とかじゃないですよね！？中々惹かれる方いますよね！？って思いながら書いてました。笑二章もお付き合いいただけると嬉しです！ (2017年1月12日 22時) (レス) id: 1a32b5f4a6 (このIDを非表示/違反報告)
みよ(プロフ) - ジョセフィーヌ・ハルオミさん» やっと一章終わりましたね！お疲れ様です^^いや、ですがあのキスもなかなか萌えます笑1人で「超いい……」とかやってましたもん笑笑幸せなキスも楽しみにしてますw (2017年1月7日 19時) (レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
ジョセフィーヌ・ハルオミ(プロフ) - みよさん» ああああ！！ありがとうございます！！めちゃめちゃうれしいです！！キスまで長かったんですよ……しかも色々誤解を生むような……くそぅはよう幸せなキスしてくれや！と思いながら書いてます。笑今後ともよろしくお願いいたします！ (2017年1月5日 22時) (レス) id: 1a32b5f4a6 (このIDを非表示/違反報告)
みよ(プロフ) - この話めっちゃ好きです！！頑張ってください！！！！キスまで長かったァ〜〜！！！ (2017年1月5日 22時) (レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハナチル | 作成日時：2016年12月10日 22時
