出来た子にはご褒美を【黄】

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「あ、名前聞いていなかったの」



回想に入った彼のローブをくいくいと引く無垢な少女が男の目に写った。




回顧するうち、サーカスの居住区へ出ていたようで
同じ格好をした者が少女を抱える姿を見て、駆けて行った。
これで両親の耳に入る。





引き返すことは叶わない。






「ん？あ、、ぁ、ジュンタや」






「ジュンタ？
　やっぱり、英国の人ではないの？」





やはりここも島国だけあってか
祖国と同じく外部の人間は浮き白い目で見られることも少なくなかったが一瞬で見抜かれたことには少し驚いた。

直ぐに顔色を変えるほど堕ちてはいないが先程抱いた
嫌な予感が拭えない。




「なんで〜？英語下手か？」

ジュンタは笑ってそういったが
Aはバツが悪そうに目を伏せ、首を小さく振りながら違うわと続けた。



「うんん、でも少し、少しだけ訛りがあるわ。
　それに髪も黒くて目の中も黒いでしょ。
　私ね、最近ずっと東の国にそんな人たちが住んでるってお父様に聞いたから」





油断した。日頃毛の色を見せないよう注意を払っていたが頭から被っていたフードの中も見られていたようだ。

頬が少し、引き攣った。
変わらず自分は詰めが甘いようだ。



「Aちゃんは小さいのに物知りやなぁ」





ええこやと頭を撫でると
Aはくすぐったそうにはにかんだ。

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