All the beginning 1 ページ1
何かが唸る声が聞こえ檻から離れようと走り出すも、行手行手にまた檻がまるで拒むように現れて、腫れた瞼にさらに涙が滲んだ。
部屋には等間隔で今にも吹き消えそうな心許ない蝋燭が揺れているだけだ。
そんな暗闇を泣いて気怠くなった体に鞭を打って必死に走る。
不規則に並べられた檻の上に乱雑にかけられているのは、触りたいとは決して思わないようなボロボロの布切れで、何を意図しているのか見当がつかなかった。
ただ、ここはどこか薄ら寒くて、暗くてそして。
すぐそばで獣のような声がした。
背丈よりも少し小さいだけの檻の中でいくつもの息遣いが感じられる。
「○△◇＠？＊￥！！」
おぞましい咆哮に思わず体が飛び跳ねるとすぐそばにあった檻に赤いローヒールの踵がぶつかった。
何かが檻の中で蠢く気配がして、慌てて檻から離れると布の隙間から何かがぬらりと鈍く反射した。
まるで生物がこちらを見ているような光に冷や汗が流れる。
刹那、それが本物の目玉だと気がつき喉の奥から潰れた悲鳴が高く漏れた。目玉はこちらをじっと見つめ動かない。
瞳はAと似た淡い青色をしていた。そして瞬いてまたAを写した。
妙な既視感だった。
それだけではない。獣が出す気配、息、微動。
全てが見たことが、いや、よく知っている。
ソレが少し身をよじらせると瞳に何かがかかった。
獣の毛とは違う。細く芯を持ち、しなやかな。
.
それは確かに。
.
檻の中にいる存在を確かめようと檻に向かって一歩踏み出した時、足音がした。
それも何人もの人間の足音だ。近づいているのか徐々に大きくなる。
.
.
(あぁ、助かった)
「隠れて」
声を上げようとした時だった。
目の前の檻から「人」の声が聞こえた。
「早く」
目の前の影が責めるように鋭く言う。
やはり、これは、人なのか。
恐る恐る目を合わせるとこんどはしっかりと人の形に見えた。足を投げ出し座り込む人は、Aと大差ない躯体ている。
なぜ檻に。
なぜこんなところに。
ここは、移動サーカスのテントだ。
なぜ。
なぜ。
「早く」
再び人影はAをせかした。
闇に浮かぶ瞳、その声に従って檻の後ろにしゃがみこむ。
足音が大きくなるほどに、周囲の檻から音が消えていく。
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みよ(プロフ) - ジョセフィーヌ・ハルオミさん» 大丈夫ですよー^^無理やりのキスも萌えますよ！！！(もしかしてハルオミさんと私だけの特別な性癖……)2章楽しみにしてます^^ (2017年1月13日 1時) (
レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
ジョセフィーヌ・ハルオミ(プロフ) - みよさん» 返信遅れてしまって申し訳ないです……。いいですよね！！私だけの性癖とかじゃないですよね！？中々惹かれる方いますよね！？って思いながら書いてました。笑二章もお付き合いいただけると嬉しです！ (2017年1月12日 22時) (レス) id: 1a32b5f4a6 (このIDを非表示/違反報告)
みよ(プロフ) - ジョセフィーヌ・ハルオミさん» やっと一章終わりましたね！お疲れ様です^^いや、ですがあのキスもなかなか萌えます笑1人で「超いい……」とかやってましたもん笑笑幸せなキスも楽しみにしてますw (2017年1月7日 19時) (レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
ジョセフィーヌ・ハルオミ(プロフ) - みよさん» ああああ！！ありがとうございます！！めちゃめちゃうれしいです！！キスまで長かったんですよ……しかも色々誤解を生むような……くそぅはよう幸せなキスしてくれや！と思いながら書いてます。笑今後ともよろしくお願いいたします！ (2017年1月5日 22時) (レス) id: 1a32b5f4a6 (このIDを非表示/違反報告)
みよ(プロフ) - この話めっちゃ好きです！！頑張ってください！！！！キスまで長かったァ〜〜！！！ (2017年1月5日 22時) (レス) id: 437f64176f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハナチル | 作成日時：2016年12月10日 22時
