【４５７】side Retsu ページ24
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和也『兄貴はさ、辛いんだと思うよ。アンタの縁談。
付き合ってんだから当然でしょ。いくらお目付け役とはいえ、御免被りたいって話。
誰がすき好んで惚れてる女の将来の旦那に“末永くよろしく”なんて頭下げたがるかよ』
志摩子『……だったらいっそのこと、暴れまわってめちゃくちゃにしてくれればいいのに』
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―――ああ、そうなんだ。
俺は、志摩子にも望まれていなかったんだ。
俺の妻？……美しいだけで冷たい、俺の母に似た妻になるんじゃないのか。
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烈『………何を勘違いしてたんだかなァ……』
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右手で顔を覆った。くしゃ……と前髪を掴んだ。
涙は流れなかった。悲しくなかったんだから、当然だ。
ただ虚しさを覚えただけ。この世には、俺の味方などいなくて
俺に寄り添ってくれる人など、いなくて―――。
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烈「俺の通り道でいつまでも油売ってるからだよ？」
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廊下で話していた連中は、全員、倒れていた。
イラついて、殴りかからずにはいられなかった。
拳が切れて、血が出ているのが目について……ぺろ、と。舌を這わす。
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烈「二度と俺の耳に入る場所であの女の話をするな……って、聴こえちゃいないだろうけどねェ……」
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鉄の味。これでいい。
誰にも愛されなどしない、誰のことも愛したりしない
―――ならば、何故、孤独の中で俺は生きる？
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「烈殿、こちらでしたか……っ…！」
烈「どうしたのォ？」
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何かの報告か、背後から駆け寄ってきた気配は
俺の足元に転がる男たちに一瞬、息をのんだようだった。
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「っ……鳴上組と龍村組が、全面対決に入るとの報せが……」
烈「―――ほお、面白いね」
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ぞくっと……全身が、滾る。たまらないな。
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烈「こんな面白いこと、黙って見てるだけなんて勿体ないよねェ？」
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裏社会とよばれるこの世界に、愛なんて生ぬるいものは要らない。
ここは弱肉強食の、力の世界だ。権力を得るか、全てを失うか。
そんな世界だからこそ、俺は生きていける。俺が生きる意味となる。
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脳裏にチラつく少女の姿を追い払おうとして………あ。とひらめく。
思い出していたのは、志摩子ではなく
志摩子の産んだ娘のこと。
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烈「………楽しくなりそうだ」
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玉梓(プロフ) - keimomさん» 初めまして。こんなに長いお話を挫けることなくここまで読んでくださってまずはありがとうございます。このまま最後まで楽しんでいただけるよう頑張りますね。よろしくお願いします。 (2016年7月12日 22時) (
レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - ino子さん» お久しぶりです。幸せは幻覚なのかもしれない、でもそれほどに脆いものだからこそ、掴みたくもなるし大切にしたくもなるのかもしれませんね。そして、掴もうとした者・大切にしようとした者にしか決して手に出来ないものなのかもしれません。 (2016年7月12日 22時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - ものものさん» コメントありがとうございます。次章を既に読み始めていらっしゃったら、その驚きも納得とまではいかなくとも安堵ぐらいには変わっているでしょうか。最後までどうぞよろしくお願いしますね。 (2016年7月12日 22時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - ゆり:)さん» コメントありがとうございます。烈に限らず、そしてこの作品の中に限らず、人間誰しも、今のその人物は形成されるまでは必ず過去・過程がある。全部を理解するのは困難でも、一面だけを見るのではなくて、色んな見方ができるようになると世界は大きく変わるでしょうね。 (2016年7月12日 21時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
玉梓(プロフ) - 梨沙さん» 次章でお会いしましたね( ´ ▽ ` )ﾉ笑 素敵な夏になるよう、全力で打ち上げますたま。 (2016年7月12日 21時) (レス) id: 39f84c63ac (このIDを非表示/違反報告)
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