魔 性 と 恋 傀 儡 【 雪男 】

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よくあるじゃん？

主人公が姫を助け出すゲームとか漫画とか。

でも結局助け出したらめでたしめでたしで、
俺は知りたいの。




その先に本当に幸せはあるのか。

このままこーゆうこと続けていって俺たちに
何が待ってるんだろう？って。






おかしい。

鴨とAがクラブに入ってったきり戻ってこなくて、
Aから連絡も無くてただごとじゃないって気づいた途端にようやくAが裏口から飛び出てきて。






「っ薬、盛られた」





メイクも服もぐっちゃぐちゃで白い肌には至る所に乱暴されたような赤い跡が残ってて、俺は頭が真っ白になる。

何とか家に着いて取り敢えずAがそこに本当にいるかどうか確かめるように何回も抱きしめた。

煙草と色んな人間のきつい香水の入り混じったにおいがAの髪に染み付いていた。






「いれられかけた、」

「んも、言わなくていい」

「…ってかわかんない、いれられたかも、」

「っだから、言わないで？言わないでいいの、ね？」






「ごめん、もうこんなのやめよう」と言いかけた俺に
大介も私なんか底辺って思ってるでしょ？とAが吐いた。


肩を掴んで顔を覗き込めば、Aの目が悲しい。


色んな男に身体触られて、騙して、奪う私は
汚いでしょ？吐き気がするでしょ？って、


……何で？思ってねえよ。
どうしてそんな風に言うんだよ。






「綺麗だよ。大好きだよ」

「嘘ばっかり。私大介のことだって裏切りまくってるもん」

「俺は裏切られたなんて思ってない」

「嘘つき。へたれ。ビビリ。いっつも優しくて綿飴みたいなふわふわな言葉しか言わないし何？私と居るのなんてほぼほぼ同情でしょ」






「そういう女だから手だって出さない」って言われて
今までギリギリのとこで我慢してた何かがぶちっ、て切れた。






……キス、してた。
唇、痛々しい跡が残るここも、気持ちを押し付けるみたいに半ばヤケになって口づけを落としまくる。



くすぐったがられてもやめない。
服の中だって愛する。死ぬほど、俺がどれだけAを好きかそろそろ分かればいいと思った。






「……俺に身体許してくれんなら、力抜いてよ」







優しく囁けばAは拒否もしない。


ずっと一緒に居て初めてAの体温を知る感覚に
俺らは底辺だとしても今日もここで2人で生きていて、






ああ、やっぱこの先何があってもAを否定することを
俺だけはしないんだろーな、って気づいた。





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