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言われた意味が理解できずだった。
だけど段々と色濃くなる彼女の言葉。
俺は何を、と思い出す度に口を押さえていた。
「良かったら食べてくれないかな?」
あの夜からそう時間も経たずに
ドアを開ければ彼女が申し訳なさそうに立っていた。
紙袋の中には3つほどタッパーが重なっていた。
こんなに貰えないよと言っても首を振って押し付けられる始末。
じゃあ悪いからせめて上がって……と、
気づいたら彼女を家にあげていた。
「……と言っても何もしてあげられないんだけど、」
「ううんごめん、本当に迷惑なのは百も承知なの」
「……この間のことなんだけどさ、」
「……それも迷惑だって、分かってる」
目の前に紅茶を出してあげたと同時に
「高校の時好きだったの」と告げられる。
こんなに見目麗しい人が。
妻に捨てられかけている俺なんかに。
「……私は宮舘くんを捨てようとする奥さんの気持ちなんか全く分かんない。……心底ひどい人って思う。
それなら、私が宮舘くんを奪いたい」
あまりにストレートな言葉にどうしようもなく胸が苦しくなる。
彼女がその先をまだ言ってないのにも関わらず
俺は妻の顔を必死に思い出していた。
「……でも、……俺には妻がいるし」
「……うん」
「……俺、ちゃんと記念日は大切にしてた。欲しがるものは買ってあげてた。向こうも仕事で疲れてるだろうから、俺が料理とか掃除もして。苦手だったけど、煙草だって、我慢できたんだよ、それほど妻を大切に…」
彼女は俺を遮った。
「気づいてない?本当は自分にして欲しかったことを相手に与え続けてたんだよ」と。
まって、という制止も聞かずに彼女は
寂しい哀れな俺を強くゆっくりと抱きしめた。
「……私なら宮舘くんに幸せを与えてあげたいって思う。
悲しい思いなんかさせないよ」
彼女の言葉の1つ1つが胸に突き刺さる。
気づけばソファに彼女を押し倒していた。
どちらからともなくキスをして
寂しさを埋めるように激しく彼女を抱いた。
それだって、今まで散々尽くすようなやり方しかしてこなかった。
そんな俺に彼女は「もっと気持ち良くなっていいんだよ」と囁いて優しくも大胆に俺を攻めた。
「……私が、全部、受けとめるから」
俺が寂しさを手放した、瞬間だった
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kae(プロフ) - 紫陽花さん» 紫陽花様、有難いお言葉感謝です😭怪しい彼氏も読んでいただけたのですね!嬉しい…似ているなんて本当に光栄な限りです。はるのちゃんは永遠に憧れの存在です。好き同士だと似てくるんでしょうか?😂こちらこそ読んでくださってありがとうございます!! (2022年8月25日 23時) (レス) id: ae2feaf230 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様〜!嬉しいコメントありがとうございます!実は私もまたさせていただけるなら…と期待しつつ🙏悪女について沢山の捉え方とストーリーをご提供できて楽しく書かせていただきました!ユッピン様の応援あってこそです。これからもよろしくお願いします! (2022年8月25日 23時) (レス) id: ae2feaf230 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - 紫陽花さん» 紫陽花様、第1弾の方も読んで下さり有難うございます🙇ぜひ今後ともかえちゃん、そしてはるのの執筆活動を応援して頂けるとすごく嬉しいです☺️またお会いできますように…!! (2022年8月25日 23時) (レス) id: dbb7f3d4be (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、こちらにも感想を送って下さり有難うございます🙇😂私もコラボを受け入れてくれたかえちゃんには本当に感謝しています😢読んで下さったユッピン様にも、勿論多大なる感謝です🙇いつも素敵なコメントを本当に有難うございます…! (2022年8月25日 22時) (レス) id: dbb7f3d4be (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - 完結お疲れ様でした。怪しい彼氏に続いて今作も最高でした。共同制作なのに作風が似ていて、とても読みやすくて楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました。今後もお二方の作品楽しみにしています! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 990636348e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haruno x他1人 | 作成日時:2022年8月10日 21時