魔 性 と 恋 傀 儡 【 雪男 】

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Aと付き合うようになって分かったことは、よく尽くしてくれる理想の女の子だということ




『今日はビタミンを意識した献立にしてみましたー！』


「へぇ……うわ！マジで美味い…」


『えへへ、嬉しいなぁ』


「Aの料理食べてから、ほんと肌質良くなった」


『ほんと！？効果出てきたんだ！作り甲斐あるー』





冗談じゃなく料理上手。俺の理想そのもの。泊まった日は俺のために早起きして、栄養バッチリの弁当まで用意してくれた




『翔太くん、今日は日差しが強いからこの日焼け止め、塗って？残りの分、あげるから！』


「え、これ…高いやつじゃん？A、特別な時にしか付けないって言ってたやつ……」


『いいの！私より何より、翔太くんの方が大切だもん』


「んーわかった。今日は借りるけど悪りぃから新しいの買いに行くの、今度付き合って？」


『うふふ、そんなに気にしなくていいのに……うん、もちろん！』




美しくなるには、金がかかる。これは今までの経験で嫌ほど分かっていた。Aの給料は詳細には知らないけれど、常識で言えばそこまで多くないはず。スマホのアプリで家計簿をつけて、なんとかやりくりしているのも知っていた。真面目でこつこつ、でもそれをあからさまにせずに尽くしてくれるAが素直に愛おしい。だからこそ、俺の為にせっせと美容用品を買い与えてくれる彼女を心配になることもある。だからなるべくは自分が財布を出すように心がけていた




「A、俺の為にあんまり無理すんなよ？金のこともあるし…おすすめの商品があるなら、教えてくれれば俺が買うわ」


『ええ！そんな……嫌だった？私無理なんてしてないよ？』


「いや、嫌じゃない。むしろ嬉しんだけど……なら、いいけど……うん。実は今まで関係があった女、結構な確率で外見重視なやつばっかでさ？顔がいいから、とか何度も言われてきて…こんなに親身に尽くしてくれるAみたいな子、初めてで」


『………そう…』


「ごめん。だから心配になったわ。大切にしたいんだ、Aのこと」


『……うん……ありがとう。………翔太くん……あのね、』


「ん？どうした？」


『………ううん、やっぱりなんでもない』



とたとたと近づいてきた彼女は、俺の身体にぎゅう、としがみついた。顔を見上げてきた彼女は、少しだけ困った笑顔。俺が初めてのちゃんとした彼氏だと言っていたし、前の女の話なんかしたらそりゃそうなるよな…気をつけよう。

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