> ページ30
.
"そんなの…酷い…どれだけ貢いだと思ってるの…？"
涙を流しながら取り乱し始める彼女にはっきりとした態度で彼は続けた
「申し訳ないけれど、その分の対価はその都度サービスで返してる。それ以上を求められても、答えられない」
"………っ最低"
『あ！』
まるでそれは先ほどのリベンジともいうように、彼女が掴んだグラスから水が飛び散って、彼の顔に、バシャ！っと掛かってから、ぴと、ぴと、と水滴がスーツに落ちていって、床も濡れてしまっている
"もういいわ。二度とあの店に行くんもんですか！"
グラスをバシン！と机に叩きつけて、女性は鬼の形相でバッグを握りしめて出て行った
(……どうしよう)
最悪な結末に部屋は静まり返るから、そこでやっと彼が濡れていることを思い出して慌てて近くにあったタオルを差し出す
『だい、じょうぶ…じゃないですよね、』
「ふふ、平気だよ？君を守れたから」
「会いたかったよ……俺のプリンセス」
.
.
お詫びにと売り場にあるメンズの洋服を適当に見繕って着替えてもらうと、モデルのように紳士に出てきた彼は何も着ても様になって流石だな、と感心した
「予約してたレストラン、キャンセルするのが勿体ないから…一緒にどうかな？」
帰り支度をして、彼を見送ろうと店前でタクシーを捕まえたのにさらっとお誘いを投げかけられて、頷く前にあっという間に手を取られて座席に引き込まれていた
『ここ…高いんじゃないですか？』
「ふふ、大丈夫。経費で落ちるよ」
外資系のホテルのレストランに着いたときは、友達の結婚式以来の久しぶりのコース料理に緊張が走ったけれど、慣れている彼のエスコートとトークにあっという間に肩の力は抜けていた
『…ごめんね？この前私…記憶がなくて…』
「ううん、酔ってたし仕方がないよ。でも…」
『ん？』
「本当に……綺麗だった」
ステーキを切るナイフの手が止まって、まっすぐ私を見つめてからそんなことを言われてしまうと、あっという間に恥ずかしさで頬が熱くなる
『も、もう…みんなに同じこと言ってるんでしょ？』
店で聞いた"平等"というフレーズをなんとか思い出して心を落ち着かせるのに、彼はさらに私を捕らえるように言葉を紡ぐ
「いや、Aは特別だよ。
………お客様じゃなくて、
俺のプリンセスにしたいんだ」
本当に夢じゃなかったと、微笑む彼を見て確信した
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1468人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kae(プロフ) - amanonさん» amanon様、このお話達を思い出していただけるなんて…！とっても嬉しいです♡言っていただいて私も「本当だ！」と驚きまして新たな発見になりました笑 ラウくんの感じもお話とあってますよね！こちらこそありがとうございます！ (2021年11月12日 22時) (
レス) id: c4a2777d96 (このIDを非表示/違反報告)
amanon(プロフ) - ) - 僕の彼女になってよ。のMVが公開されてここのお話が映像化されてる！Haruroさんとkaeさんが書いた曲かなってなりました！ラウくんの「おいで」の衝撃！シリーズ読み返しながらmvとリンクさせてめちゃめちゃ楽しかったです！ありがとうございました！ (2021年11月12日 2時) (レス) id: ea6adaa9a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - Harunoさん» 最近kaeさんとお話させて頂いてるのをきっかけに読ませてもらったのですが、読んで正解でした😆ほんと素敵な作品を書いてくださり有難うございます！読んで下さってるんですか😆嬉しいです！有難うございます😌お互い頑張りましょう😊 (2021年9月21日 21時) (レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - kaeさん» うふふ😳読み終わるの遅くなってすみません💦でもホントに惹き込まれました😊また他の作品も読み漁ろうと思います✨頑張ってください！ (2021年9月21日 21時) (レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ゆきんこさん» ゆきんこ様、見てくださってありがとうございます（ ; ; ）まさか物凄く人気な作者様にそのように評価して頂けるなんてとても信じられません…。コメントするのも畏れ多かったのですが密かに応援させて頂いておりました…夢心地です、有難うございます（ ; ; ）！ (2021年9月21日 21時) (レス) id: e700cf4b7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Haruno kae
x他1人 | 作成日時：2021年8月22日 21時
