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彼を抱きしめるとやっぱり彼は温かった
A
「…温かい、」
北人(A)
「Aも温かいね、」
A
「…あのさ、あなたに名前をつけてもいい?」
北人(A)
「名前?僕は北人だよ」
A
「ちがうよ、あなたはあなただから。ほくちゃんじゃないあなたの名前」
彼が驚く中、私は彼を見つめた
ふと浮かんだ名前、“イト”
A
「イト。どうかな、気に入らなかったらごめんね」
そう言うと彼は嬉しそうに笑ってから
北人(A)
「イト、気に入った!」
A
「じゃあ、今日からイトって呼ぶね!」
この日から、私は彼をイトと呼ぶようになった
アンドロイドだけど彼にはしっかり心がある。そう思った
A
「イト!仕事行ってきます!」
イト
「行ってらっしゃい!」
イトと呼ぶ様になって、イトが悲しい顔をすることがなくなった
帰ったらイトがいて、目覚めればイトがそばにいてくれる
いつしか私は、イトを好きになっていた
ほくちゃんだけどほくちゃんじゃない
イトとして生きる彼を。
掃除機をかける彼を見つめてつぶやいた
A
「イト、いつもありがと」
イト
「ん?掃除機の音で何にも聞こえなかった!」
A
「ふふ、何にもないよ!」
そう言うとイトはまた掃除機をかけ始めた
A
「イト、好きだよ」
掃除機の音で聞こえないくらいの声で呟いた
イトとの日々がこれからも続いてほしい
強くそう願った。当たり前じゃないこの日々が
私の中でどんどん大切になっていった
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎
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作者名:haRu.s2 | 作成日時:2024年1月16日 7時