天涯の巫女と付喪神様 二

18話 鶯が秋に嘆く ページ22

ー大包平‥その姿を見せてくれ

大包平、俺は寂しい‥
どうしてその姿を現さない？

その姿を俺に見せてくれ

一緒に茶を‥なぁ、大包平

何か答えてくれ

大包平‥ー









『‥‥‥‥』






夢を見た、大事そうに抱える彼と
刀のままの彼、名は大包平と言っていた
泣いていた彼はわからない
けれど、助けを求めてるのは
間違いない
おはようございます、桔梗様
如何されましたか？
こんのすけちゃん(ちゃんと居たよ)が
心配そうに見つめてきた
私は小さな体を抱き上げる

ううん、なんでもないの
ちょっとまだ眠たいだけ
笑って誤魔化した
本当ですか？こんのすけは
心配です‥擦り寄ってくるこんのすけちゃんに
うんと微笑みそっと抱き締めた

布団から出て近くにあった
羽織に袖を通し顔を洗いに行く
その途中での香りはお味噌汁
光忠さんが作ったご飯を
お腹が早く食べたいと言ってるように
小さな虫の音





『おはようございます』

「おはよう、桔梗ちゃん」

「‥‥‥‥」

『おはようございます

光忠さん、大倶利伽羅さん』

「寝癖」

『え？あ、あの』





私の寝癖を大倶利伽羅さんの手が
優しく解いてくれる
それに少し恥ずかしかったりする
綺麗に直してくれた大倶利伽羅さん
身長差で自然と上目遣い
あ、ありがとうございますと
御礼を言えば
あぁと小さな微笑み付きで返される
大倶利伽羅さんの微笑みは
レアだから見れて嬉しい

よっ、桔梗、おはようさん
涎がついてるぞ？
そう言って現れたのは鶴丸さん
涎ですか？
私が確認しようとすれば
嘘だと言われる、鶴丸さんを見れば
悪戯っ子のように笑い、驚いただろう？と
聞いてきた





『ついてなくて良かったです』

「君、反応がおもろしくないな
そこはもっと驚くところだろう」

『だって、ちゃんと顔
洗ってきましたもの』

「‥‥次はもっとあっと驚くような
驚きを提供する」

『はい、楽しみにしてますね！』

「あぁ」

『あ、鶴丸さん』

「ん？なんだ？」

『おはようございます』

「おう、おはようさん」

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