天涯の巫女と付喪神様 二

8話 山姥切国広 ページ9

泣き止んだ彼と目が合う
至近距離だから、翡翠の瞳がよく見えた
とても綺麗な瞳、彼の金とよく似合っていた
素直にそう思ったから
綺麗ですね、そう微笑んで言ったら
彼の瞳が驚きに代われば
次に恥ずかしそうに布で隠した素顔
き、綺麗とか‥言うな‥っ‥！
そう言った彼に
私は、どうしてですか？と
聞き返したら、彼は
俺は‥汚れてる方が丁度いいからなと
返ってきた

私の手が伸びる、薄い月光に照らされた
彼の金、私は彼にこう言葉を贈った




『貴方は汚れてません
貴方も、貴方の心もとても綺麗

それは貴方だからでしょ？』

「！‥物好きだな、俺を綺麗とか言うなんて‥」

『そうですか？
褒め言葉として受け取っておきます』

「変な女だな、お前」

『膝丸さんにも言われました

私、変ですか？』

「あぁ、変だ

だが、それがまたいいかも知れない
あいつらには

お、俺にも‥//」





また、白布で隠した素顔
綺麗な彼を隠す白布に勿体ないと
思いながらも、少しずつ見えた彼の《姿》
それに一つ微笑んだ
そんな私に彼が言う





「俺は山姥切国広、これからは
お前を守る為にそばにいる

偽物の俺だが‥その、お前のそばへ
いてもいいか？」

『ご自分のことをもう偽物だって
言わないならいいですよ』

「なっ‥！」

『ふふ、嘘ですよ』

「嘘？」

『はい、嘘です

でも、今日限りで《偽物》だと
言うのはやめてください

貴方は偽物なんかじゃない
その意志も貴方も全部本物です』





女がにっこり笑った
本当に変な女だ、俺の心を変えていく
たった少しの時間共にいただけなのに
あっさりと俺の心へ入ってくる
あいつと同じように
だから、俺は惹かれたのだろう

その笑顔を守ってあげたい
いや、守りたい
俺にお前を守らせてくれ





『国広様、私は桔梗です
よろしくお願いしますね』

「国広様‥俺は様付けされる程
立派ではない

国広でいい」

『でも、神様を呼び捨てにするのは
嫌なので、国広さんでどうですか？』

「国広」

『国広さん』

「国広」

『く、国広‥さん』

「‥もうさん付けでいい」

『はい！国広さん』

「(ﾌｯ)」





俺の命尽きる時までお前を守り
この刀であらゆる敵をも
薙ぎ払ってやる
その笑顔の為に、お前の為に

ずっと

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