太陽神様、審神者になる

付喪神様、白梅香に導かれて ページ18

白梅香が残る、それは男を辿るための道しるべ
薬研が追いかけようとすれば
その腕を一期が掴んでいた

その目はどうして追いかける？
あんな男などほっておけばいいと言う目
俺は男が消えた道を見つめた

離せよ、一兄！
俺っちは大将を追いかけたいんだ！
そう言う薬研に思った
どうしてそこまであの男に執着出来るのか

俺は人に対して執着した事がないから
理解出来ん

薬研！お前はあの男に騙されてるんだ！
何故、気づかない！？
私が行かせると思うのか！？
一期の顔が険しくなる、なんだよ！それ！一兄だって、大将が《主》ならいいって、そう思ったから、離れに鶴丸の旦那と来たんだろう！

これが世に言う兄弟喧嘩か






「だが、私の気が変わった！
居間の時に話してた男の目を見てこの方ならと思ったが
離で見たお前を男が襲っていたではないか！

味見などと言って
お前をあの男は‥！！」

「だから違うって言ってんだろう！
あれはだから、俺っちからって言ってんだろう

大将が《味見》って言ったのは
俺っちが一兄に叱られないように
庇ってくれただけだ」

「嘘つくな、薬研！
本当の事を話してくれ」

「俺は本当のことしか話してない！」






終わらない兄弟喧嘩、見ているのも悪くないが、俺はそんな二人をほって
白梅香を追いかけた

あの男に会って確かめたい事がある

どうして俺を遠ざけようとするのか
どうして俺を見て切なそうな目をしたのか

どうして、俺から逃げようとするのか

離れであの男は俺を見た瞬間
驚いた目ではない
俺が見たのは《哀しみ》と《愛しさ》が
混じった眼だった

そして

審神者を辞める発言

可笑しいと思わないか？
俺を見た瞬間、辞める発言なんて

白梅香に導かれやって来たのは
暗く深い森の入口だった






ー付喪神様、本丸の裏山へー

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