天涯の巫女と付喪神様

30話 龍の宝刀 ページ30

最後に起きたのは私みたいだ
おはようございます
そう挨拶すれば
寝癖がついてる、膝丸さんが
髪を解いてくれる
すみません、ありがとうございます
お礼を言いなされるがまま

起きたての体にお茶が染みる

っで、今日は何するの？
清光さんが尋ねてくる

私は、夢の話をした






「夢の中で誰かが泣いていました
きっと今も泣いてるのだと思います」

「君の夢は不思議だな

っでそれは誰だ？」

「わかりません…後ろ姿だったので
顔を見てなくて…」

「ふむ、何か特徴はなかったのか？
桔梗」

「特徴ですか？

そうですね、全体的に黒い、ですかね？」

「なにそれ、それだけじゃ
わかんない」

「後ろ姿だったので…

そう言えば、伽羅ちゃん？って
言ってましたが」

「！！」






思い出すように話していれば
それは光坊の事だ
鶴丸さんが教えてくれた
光坊？
首を傾げた私に
あぁ、俺と顔見知りの刀だ
有名だぞ、燭台切光忠
伊達政宗公の刀だった男だ
ちなみに
俺も少しだが伊達家にいたぞ
驚いただろう？

私は頷いた
伊達政宗と言う名を知らない人は
きっといないだろう
奥州を治めた若きカリスマ
独眼竜で有名な御武人

伽羅ちゃんと言うのは
政宗公の刀、大倶利伽羅の事だ
だが、伽羅坊は
もういないんだ
鶴丸さんの表情が曇る

あいつは、戦場で散った…

31話 約束→←29話 夢

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す