天涯の巫女と付喪神様

25話 初期刀 ページ25

手当てもしてもらい
一息してる私達
私の膝にこんのすけちゃんが
乗ってくれば
可愛い肉球が私の顎を触れる
私はこんのすけちゃんを
抱き上げる

桔梗様、こちらの初期刀は
ご存知ですか？
そう聞かれ首を横に振る
ここの初期刀は確か
加州の旦那、だったか？
湯のみ片手に言う薬研さん

加州の旦那様？
薬研さんを見れば
加州清光、ここの古株だ
三日月さんが答えてくれた




「加州殿は初期刀であり
ここに来た私達よりも早くにいた
打刀です」

「そうなんですか
加州清光様、素敵なお名前ですね」

「だが、あいつは今
どこにいるかわからん」

「そうだな
前の人間に隠されたからな」

「うむ、隠されたな
何処にいるかはわからん」

「隠された？
それは何故です？」

「さぁな
理由はわからん
加州が隠された事は知ってるがな」





私は目を伏せた
もし、暗い場所にいるなら
早く見つけ出してあげたい
私も暗い場所は得意じゃない
苦手な方だ
むしろ、大嫌いだ…
閉じ込められる気分は
いいものでもない…

ー出して！！ここから出して…！ー
ーうるさいわよ！
あんたの顔見たくないの！
ずっとそこにいたらいいわ

誰かに見つけてもらうの待ってるといいわ
まぁ、いないと思うけどね
あははは！ー

暗い場所に閉じ込められ
出ることも叶わず
どんなに、ここに私がいると
叫んでも届かない声
私がいなくても
世界は回る
私がいなくても
周りは何も思わない

私がいなくても
誰も気づかない
ううん、気づかないフリをする
誰も私を望んでいないから

まぁ、仕方ないのかな
生まれ持った運命なんだから

それを呪うことはない
大好きなお父さんとお母さんを
呪うことになる
だからこそ
私は、腐るような真似はしない

いつか、望んでくれる人が
現れると思うから
信じて今はそれを待つの

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