もう1人のRevel (ページ12)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:632 hit

12話ページ12

人混みを掻き分け宛もなく走る

ハァ‥ハァ‥。
脳内に駆け巡る《あの日》の事

どんなに足掻いても、どんなに逃れようとしても
それは私を苦しめて蝕んでいく

走っていた足が何かに躓きその場に転ける
痛ぁ‥と膝を見れば血が出ていた、少し肘もすっていた
12月の寒さに凍えながらベンチに座った

気がつけば公園へ来ていたようだ

『‥寒い‥コート、置いて来ちゃった‥』

薄いブラウス、走ったせいかヒールが折れ履けない
携帯もないまま、帰ろうにも帰れない、もう最悪だ‥

深いため息を吐いた‥もう、何やってんだろう

泣きたくなる自分を我慢し痛む膝を抱え顔を埋めた時だった

「‥探した」

『慶太‥‥？』

恐る恐る上げた顔、目の前には慶太がいて、肩で少し息をしていた

どうして‥？と問いかけて私を慶太が強く抱きしめる

暖かな温もりに包まれる

「‥‥‥」

『慶太‥？』

「俺が居るからなにも怖がらなくてもいい
Aの事は俺が守るから

だから、怖がらなくていい」

『っ‥‥』

慶太の腕の中、私は静かに涙を流した。

見つめられる顔、優しく拭ってくれる親指‥ちぅっと瞼に唇を落とされる、それに少し驚き頬が熱くなった

今までされた事がない行為に胸の高鳴りは止まらない
私がただ驚いて慶太を見つめてると、クスッと微笑んだ慶太

着ていた上着を掛けてくれる

「送って帰る」

『う、うん、ありがとう‥//』

差し出された手にふれ立ち上がるが、膝の痛みにふらつく私を支えてくれる、怪我してるのか‥？心配そうに見つめてきた慶太

膝、擦りむいちゃって‥と困ったように笑えば、瞬時に私を横抱きする、人生初めてのお姫様抱っこ

は、恥ずかしいから大丈夫‥//！と言えば、ダメだと拒否られた

そう言えばイルミネーションやってたな、慶太がそう言う

「イルミネーション見てから帰るか」

『えぇ‥！？』

「お姫様、俺のわがままに付き合ってください」

『っ‥//！』

きらきらしたイルミネーションの世界、お姫様抱っこされたまま光の道を歩く‥
恥ずかしいけれど、それよりも二人でいる時間がいつもより特別に思えた瞬間だった‥