13 ページ14
薮side
「涼介たちに会いたい……」
不意に出た言葉を否定できるわけもなく、万全の医療体制を取ると手洗い消毒、マスクの着用をさせ子供たちをICUへと向かわせたのはついさっきの話。
侑李の体調が少しでも良くなるなら。
少しでも気分転換になるなら。
そう思いながら子供達を見守っていた。
「侑李大丈夫？」
「うん、先生たちがみんな見に来てくれるから……」
「苦しくない？」
「ん、へいき、」
酸素マスクをしているせいか、声は聞き取りにくく、かすれていた。お世辞でも元気そうには見えはしない。
ぐったりとベッドに預けた体は友人らが来ても尚、無理をする元気さえないのかべったりとベッドにくっついたままだった。
「会いたいって言ってるって伊野尾ちゃんから聞いた時すごく嬉しかったよ。」
「俺も。一時帰宅して戻ったら隣に侑李がいなくてすげー寂しかったから。」
「俺だってそうだよ。侑李のことすごい心配してた。今もすごく心配だし早く元気になって戻って来て欲しいよ。」
「……うん。……ボクも、早く戻りたい……」
えほ、えほ、小さく咳が漏れたのをみて俺は優しく侑李の背中を撫でた。
まだ胃が痛むのか、蹲るように横になる侑李はやはり他の子供達と顔を合わせてもいつもより元気はない。
それがまた不安に繋がる。
侑李の病気に対する闘志が燃やされ尽くしてしまっているような、そんな気がしていた。
それはあながち嘘でも憶測でもなくて、きっと事実。
長い闘病生活にきっと疲れてしまったんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新道踏切(プロフ) - 面白くて一気読みしてしまいました！またの更新待っています(*^^*) (2020年12月4日 16時) (
レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
ちる - すごくいい話ですね！期待してます！ (2020年3月8日 0時) (レス) id: 86380dcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - ちねんさんのお話を検索してこちらの小説を見つけました。続きを楽しみにしています！ (2020年3月2日 16時) (レス) id: cf2ae7ce49 (このIDを非表示/違反報告)
はなん(プロフ) - 面白いお話ありがとうございます 続きを楽しみにしています！ (2020年2月26日 19時) (レス) id: 039a9f3787 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱむこ | 作成日時：2020年2月20日 21時
