初心なモデルと猫被り王子【染谷勇次郎】

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「お疲れ様です、どうぞ」

「サンキュー」

「ありがとう」


『ありがとね！』


「美味しそー！」


LIP×LIPがひよりにお菓子をどうぞなどと話していると

ふと隣にいたゆめるちゃんの視線が鋭くなった気がした

「監督にコーヒー持って行ってくれる？」

ひよりにゆめるちゃんが伝えた


ゆめるちゃんがひよりの足を引っ掛け

転ばせていた

その拍子で持っていた飲み物が

私のドレスにかかってしまった

「きゃー！」

ゆめるちゃんが悲鳴をあげた

『ひより大丈夫！？』

「大丈夫です！それよりドレス…」

『ドレスのことは今はいいし私が何とかするから！』

「Aちゃん大丈夫！？」

ゆめるちゃんが名演技をする

白々しい…

流石にムカつく

私のひよりを転ばせて置いて


この素敵なドレスまで汚して

「Aどうした！？」

『あ、愛蔵ドレスが…』

「大丈夫？ごめんねうちのスタッフが」

『私は全然いいけど』

そのドレスのシーンは撮り終わっていたから良かったものの

赤いドレスにシミが出来てしまった

「ゆめる怖かった〜」

そう泣いている素振りを見せる彼女

「大丈夫？楽屋戻る？」

勇次郎がそう促す

「アイツもう出番ないし帰れよボソッ」

そう愛蔵が呟いた

愛蔵に軽く叩き

『こらっ』

スタッフさんに替えの真っ白なドレスを用意してもらい


一旦控え室に戻る

メイクも治してもらった


「まるで花嫁見たいね！Aちゃん綺麗よ」

『ありがとうございます！ウエディングドレスこんなに早く着れるなんて思いませんでした笑』

控え室を出ると

タキシードを着た2人

めっちゃかっこいい


「馬子にも衣装だな」

「ほんとだ」

『何よそれ！笑そういえばひよりは？』

さっきからひよりの姿が見えない

「あ〜落ち込んでどっかにいる」

探しに行きたいが撮影はまだ終わっていないため

行く訳にもいかない


残りはラストの結婚式のシーンだ


「出会う前から探していたよ君を」

「僕と結婚しよう」

『はい』

そう言って2人が頬にキスをする

打ち合わせではする振りだと言っていたのに


2人ともほんとにしやがった


思わず顔が熱くなる


「はいOK！」

これでノンファンタジーの撮影が全部終了した

「A顔赤くない？笑」

『な！？しょうがないでしょ？こんなのされたことないもの！』

「お子ちゃまだな〜笑」

『うるさい愛蔵！』


片付けも終わり撤収になる前に2人と一緒にひよりを探しに行く


「おい帰るぞ〜？」

『ひより〜？？』

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